刑事事件の国選弁護人は、その名のとおり、国である裁判所(裁判官)が選任した弁護人です。
被疑者・被告人が自ら選任した私選弁護人について解任するのは自由ですが、国選弁護人を自由に解任することはできません。
国選弁護人の解任については、法律上の要件を満たす場合に、裁判所(裁判官)の権限で認められることになっています。
弁護人自身も、自らの意思だけで辞任できません。
被疑者・被告人は、裁判所(裁判官)に対し、解任を申し入れて、裁判所(裁判官)に解任を認めてもらうしかないのです。
裁判所(裁判官)が、国選弁護人を解任できる場合については、以下の法律上の要件を満たすことが必要とされています。
①私選弁護人が選任されたことその他の事由により国選弁護人を付する必要がなくなったとき。
②被告人・被疑者と国選弁護人との利益が相反する状況にあり、国選弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
③心身の故障その他の事由により、国選弁護人が職務を行うことができず、または職務を行うことが困難となったとき。
④国選弁護人がその任務に著しく反したことにより、その職務を継続させることが相当でないとき。
⑤国選弁護人に対する暴行・脅迫その他の被疑者・被告人の責めに帰すべき事由により、国選弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
このような要件を満たさないと解任は認められませんので、国選弁護人が言うとおり動いてくれず、やる気がみられないという程度では、国選弁護人の解任は認められにくいです。