執行猶予が必ず取り消される場合の典型は、執行猶予期間
中に再び犯罪を犯してしまい、禁錮以上の刑に処せられ、再度の執行猶予も付かない場合だと思います。
その他でも、以下の場合には、必ず執行猶予が取り消されます。執行猶予の必要的取消といいます。
・執行猶予の言渡し前に犯した他の罪について、禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
・執行猶予の言渡し前に、他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。ただし、前に禁錮以上の刑に処せられたことについて、その執行が終わった日または執行の免除を得た日から5年を経過している場合と、その執行が猶予されている場合は、除く。
いずれの場合も、執行猶予付の判決の言渡し前に起きたことが原因となって、執行猶予が取り消されるという場合ですので、非常に稀なケースを想定していると思います。
また、以下の場合には、執行猶予が取り消される可能性があります。上記の場合と異なり、必ず執行猶予が取り消されるわけではなく、裁判所の裁量で判断されます。
執行猶予の裁量的取消といいます。
・執行猶予の期間内にさらに罪を犯し、罰金に処せられたとき。
・執行猶予に保護観察が付された者が、保護観察の遵守事項を遵守せず、その情状が重いとき。
・執行猶予の言渡し前に、他の罪について禁錮以上の刑に処せられて執行猶予が付いていたことが発覚したとき。
このように、執行猶予期間内にさらに罪を犯してしまった場合でも、罰金で済んだ場合には、執行猶予が取り消されるとは限らないのです。
だからといって、執行猶予期間に、軽微な犯罪ならば犯しても大丈夫ということではありません。
当然、執行猶予という社会内での更正のチャンスが与えられたにもかかわらず、その期間内に再び犯罪を犯してしまったことは、仮に軽微な犯罪であっても、再犯可能性が高いことを裏付ける事実になりますので、罰金では済まない可能性が高くなります。
執行猶予の取消が問題となる場合には、難しい判断が必要となる場合がありますので、刑事事件に詳しい専門の弁護士に相談されることをおすすめします。