保釈金(保証金。保釈保証金。)の相場としては、一般的なケースで、150万円~200万円といえると思います。
ただし、保釈金は、あくまで個別の事情によりますので、150万円~200万円の範囲におさまらないケースもあります。
保釈金が150万円~200万円になるのは、保釈の申請をすることが多く、かつ、保釈が認められやすい以下のような状況が典型的です。
①初犯または正式裁判になるのは初めてである。
②執行猶予判決の可能性が高い軽微な犯罪である。
③被告人が自白している。
④被告人の収入や資産が庶民的である。
これらの条件にあてはまらないケースは、まず保釈申請すること自体が少なくなります。
特に、①、②、③に該当しない場合は、前科あり、実刑確実、否認事件ということになり、最初から保釈が選択肢に入っていないことが多いです。
ただ、否認しているが、正式裁判になるのは初めてであり、執行猶予判決の可能性が高いという場合は、保釈が認められない可能性はあるものの、保釈申請することは割とあります。
そして、上記ケースにあてはまらない場合、保釈金が200万円を超えて高額になる場合があります。
一番典型的なのは、被告人が高収入・お金持ちという場合です。
保釈金は、被告人が逃亡等をしないように、裁判所に予め納めさせ、逃亡等したら没取されるという制裁があることで、逃亡等を思い止まらせるためのものですので、被告人が資産家で200万円を失っても痛くもかゆくもないという場合には、意味がなくなってしまいます。
したがって、被告人が痛みを感じるであろう高額の保釈金が設定されることになります。
高額な事例としては、ホリエモンこと堀江貴文氏の保釈金は3億円でした。
ロッキード事件の田中角栄氏の保釈金は2億円とされました。
脱税事件で起訴されたサッチ-こと野村沙知代氏は5000万円の保釈金でした。
最高額は、食肉偽装事件のハンナン元会長浅田満氏の20億円と言われています。
保釈金の没取の最高額は、イトマン事件の許永中氏の6億円と言われています。
許永中氏は、保釈中に逃亡したことにより、保釈金全額が没取となりました。
しかも、6億円のうち許永中氏が用意できなかった3億円については、許永中氏の弁護人が保証書を裁判所に差し入れていたため、許永中氏の複数の弁護人が合計3億円を裁判所に支払うことになったようです。
弁護人にとっては、かなりのとばっちりだと思います。
なお、許永中氏は、その後に捕まり、実刑判決が確定しています。