保釈が認められる要件は、どのようなものですか?

保釈が認められる場合については、刑事訴訟法で、以下の3種類について、規定があります。
①権利保釈(必要的保釈)
②裁量保釈(職権による保釈)
③義務的保釈

このうち、実務上、保釈が認められることが最も多いのは、①権利保釈であり、その次が②裁量保釈です。
③は、かなり少ないです。

権利保釈は、以下の要件を全て満たす場合には、裁判所が保釈を認めなければならないものです(刑事訴訟法89条)。
被告人死刑・無期・短期1年以上の懲役禁錮に当たる罪を犯した事件ではないとき
②被告人が前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがないとき
③被告人が常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した事件ではないとき
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がないとき
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者・その親族の身体・財産に害を加え、またはこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がないとき
⑥被告人の氏名・住居が分かるとき

権利保釈の要件のうち、①、②、③、⑥については、 その要件を満たすか否かが客観的に明らかになりやすいですが、④や⑤については、客観的に明らかになりにくい内容であり、その判断が裁判官の裁量に委ねられやすいものです。
実務上、弁護人は、④や⑤の要件を満たすことを裁判官に理解してもらうのに気を遣います。

一定程度の重大犯罪の場合、権利保釈は認められません。
その場合、裁量保釈(職権による保釈)を求めることになります。
これは、裁判所が、適当と認めるときは、職権で保釈を認めることができるというものです。
まさに裁判所の裁量です。
ですので、はっきりした要件というものがあるわけではなく、裁判所に保釈を認めるべきと考えてもらうことが必要になります。
その要素としては、被告人が逃走する可能性の有無、家族などの身元引受人の有無、就業や学業等の保釈の必要性、予想される量刑(執行猶予がつくか実刑か)、否認か自白か、被告人の属性(反社会的勢力ではないか)などがあります。
弁護人は、それらの点から、保釈が認められるべき場合であることを主張することになります。

義務的保釈は、勾留による拘束が不当に長くなったとき、認められるものです。
実務上、滅多にあるものではありません。
平成27年の司法統計において、保釈が認められた件数14,447件のうち、義務的保釈は9件しかありません。

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