保釈が認められるかについては、当該犯罪事件の刑事罰・内容、前科の刑事罰・内容、家族などの身元保証人の有無、職業、住居、罪証隠滅のおそれ、用意できる保釈保証金の金額などの具体的な事情によって変わってきますので、当然ですが、一概には申し上げられません。
したがって、一番良いのは、具体的な事情を説明して、刑事事件に詳しい弁護士に相談していただくことだと思います。
統計上の数値(平成27年度の司法統計)については、以下のとおりとなっています。
平成27年度内に起訴後に勾留された被告人(終局前、全裁判所)の数が、55,447名です。
平成27年度内に保釈を許可されたのは、14,447名です。
単純計算をしますと、起訴後に勾留された被告人のうち保釈を許可された人は、26%になります(14,447÷55,447×100=26.05…)。
つまり、起訴後に勾留された被告人のうち保釈が認められた人の割合は、26%ということです。
ただ、この数値には、そもそも確実に保釈が認められないであろう殺人犯のように保釈請求をしていない人を含めての計算です。
上記司法統計には、保釈請求をした人数も載っています。
平成27年度内に保釈請求をしたのは、23,804名です(全裁判所)。
単純計算で、保釈請求をした人のうち保釈を許可された人は、60%になります(14,447÷23,804×100=60.69…)。
保釈請求をして許可される割合が60%というと、結構高い確率のように思われます。
ここ最近の傾向として、保釈を請求する人、保釈が認められている人のいずれも増えていると言われています。
ですが、気をつけていただきたいことがあります。
あくまで統計上の数値は、一般論であり、個別具体的な事情で大きく変わってきます。
それから、保釈が認められたといっても、その時期が問われていない数値です。
つまり、正式起訴間もない時期に認められるとは限らないということです。
通常、正式起訴直後に保釈請求をしても保釈が許可されない場合、その後も粘り強くことあるごとに保釈請求をすることが多いです。
特に、第1回公判期日で検察官の請求する証拠が取り調べられた後や、被害者の証人尋問がなされた後には、罪証隠滅などのおそれがなくなったとして保釈が認められやすくなります。
ですが、それは、既に正式起訴から数か月経過していたりします。
このように、正式起訴直後は保釈請求をしても認められず、かなりの期間が経過した後に、ようやく保釈が許可された場合も全て含めての上記の数値ということです。
勾留されている人は、早く釈放されたいという気持ちが非常に強いですので、安易に「保釈請求すれば60%は認められる」と言ってしまうと、すごく期待が膨らんでしまうおそれがあると思います。
その期待が裏切られたときのショックは、かなり大きいようです。
統計の数値の問題をご理解いただき、慎重にお考えいただけたらと思います。