50万円以上の資力がある場合でも、国選弁護人を選任し
てもらえることがあります。
刑事訴訟法上、被告人国選の場合でも、被疑者国選の場合でも、裁判所・裁判官は、被告人・被疑者が貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、その請求により、被告人・被疑者のため国選弁護人を付さなければならないと規定されています。
したがって、私選弁護人を貧困で選任できない場合だけでなく、資力があっても「その他の事由」により私選弁護人を選任できない場合と認められれば、国選弁護人を選任してもらえるのです。
刑事訴訟法において、必要的弁護事件を除き、被告人・被疑者は、国選弁護人の選任を請求するにあたり、資力申告書という書面に、自己の現金・預金・その他の資産の合計額及び内訳を記載して提出しなければなりません。
その資産の合計額が政令で定める基準額50万円以上の場合、被告人・被疑者は、あらかじめ、弁護士会に対し、私選弁護人選任の申出というものをする必要があります。
そして、弁護士会が紹介した私選弁護人となろうとする弁護士が被疑者・被告人による私選弁護人の依頼を拒絶したとき、もしくは弁護士会が私選弁護人となろうとする弁護士がいないことを通知したときには、被疑者・被告人は、国選弁護人の選任の請求をすることができるようになります。
その場合には、基本的に、国選弁護人の選任が認められることになります。
つまり、手続が少し複雑ですが、50万円以上の現金、預貯金等を有して資力がある場合には、私選弁護人選任の申出というものを弁護士会に対して行った上で、紹介を受けた弁護士から私選弁護人の就任を拒絶された場合、そもそも弁護士会が紹介をしなかった場合には、「その他の事由」により私選弁護人を選任することができないと認められ得ることになります。
ただし、この手続のなかで、私選弁護人を選任した場合には、国選弁護人の選任は認められません。
私選弁護人を選任する資力がある場合には、まずは私選弁護人の選任の機会を設けられ、そこで私選弁護人を選任したのであれば、国選弁護人を選任する必要はないからです。