遠方での民事裁判の場合、裁判所に出頭しないで済む場合があります。
それは、電話会議による弁論準備手続というものです。
法律上、裁判所は、当事者が遠隔地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、電話会議の方法で弁論準備手続の手続を行う事ができる旨が規定されています。
電話会議による弁論準備手続は、遠隔地の弁護士や当事者が電話で裁判官と相手方(弁護士)とのやりとりを行うものです。
裁判官と相手方は、裁判所の一室(裁判所書記官室やラウンドテーブル法廷など)で、通話内容がスピーカーから流れて複数人が同時に通話できる電話会議システムを使用して、やりとりをします。
電話会議による弁論準備手続は、一般的に、遠隔地の弁護士が裁判官に次回期日を電話会議によって行うことを希望して、裁判官が電話会議によることを認めた場合に行われます。
したがって、当事者や弁護士が電話会議を希望しても、裁判官が認めてくれなければ、電話会議によることはできません。
どの程度の距離で電話会議を行うことができる遠隔地に該当するかについて、はっきりした基準はありません。
同じ場所の裁判所でも、裁判官によって、電話会議を認められる場合と、認められない場合が分かれることがあります。
また、同じ裁判官でも、裁判の状況によって、電話会議による手続を認めてくれる場合と認めてくれない場合があり得ます。
電話会議による手続は、法廷で行われる弁論期日などの場合には、行うことができません。
したがって、民事裁判の第1回期日は、法廷での弁論期日となるのが通例のところ、電話会議によることはありません。
また、証人尋問や本人尋問などの証拠調べの手続は、電話会議によることはできませんので、裁判所に出頭しなければなりません。
判決期日についても、電話会議によることはできません。
このように、裁判の全ての期日について電話会議によることができるわけではありませんが、遠方での裁判の場合、電話会議によることが認められる場合があります。