法律上は、裁判を起こす場合に、弁護士に依頼することが
必要とはされていません。
ですから、弁護士を頼まずに裁判することは、一応可能です。
でも、弁護士に依頼しないで裁判をするというのは、できるかぎりやめた方が良いと思います。
まず、裁判は、法律的な主張を繰り広げる戦いの場といえます。
したがって、普通は、法律の専門家である弁護士に依頼して、弁護士が法律的な知識、裁判の知識を駆使して、できるかぎり裁判が有利になるような主張をします。
弁護士を依頼せずに裁判をしている人は、当事務所の経験上、あまりないものの、まれにいます。
最近は、インターネットの普及で、法律的な知識を得ることが以前より簡単になっていることから、以前より弁護士に頼まないで裁判をすることがやりやすくなっているかもしれません。
ですが、やはりプロと素人との間には、歴然とした差があります。
弁護士を頼まずに裁判をしている人は、法律を知らないことで、主張すれば勝てる主張をしていなかったり、的外れな主張を延々としていたりということがあります。
裁判は、戦いです。
弁護士を頼まないということは、武器をもたずに素手で戦っているのと同じだと思っていただいた方が良いと思います。
それから、裁判官や裁判所の職員は、弁護士を頼まずに裁判をしている人に対して、やさしくしてくれません。
1つは、裁判官や裁判所の職員は、中立な立場ですので、片方にだけやさしくすることができないからです。
加えて、裁判官や裁判所の職員は、弁護士を頼まずに裁判をするのはやめてもらいたいと本心では思っています(あくまで推測ですが、まず間違いないはずです。)。
なぜなら、弁護士がついていればスムーズに進むものが、弁護士がいないとスムーズに進まないからです。
弁護士は、裁判官が法律用語を一言言えば、その意を酌むことができますが、一般の人には無理です。
特に、都市部の裁判官は、とても多くの裁判を担当していて、なるべくスムーズに裁判を進めたいと考えており、1件の裁判に時間と手間がかかることを望みません。
裁判官たる者は、法律の分からない一般の人にも分かりやすく説明し、弁護士に依頼してないということで不利にならないように、血の通った裁判をするべきという意見はあると思います。
ですが、裁判官も人間です。思うように物事が進まなければ、イライラすることもあります。
それが裁判官自身も意識していないところで、判断に影響することはあり得ると思います。
当事務所の経験上も、相手方が弁護士に頼んでいたら、もっと当方に不利な結果になったのではないかということがあります。
確かに、弁護士費用は、一般的に高いと思います。
その関係で、弁護士費用を出すことが合理的でない場合ということもあります。弁護士費用よりも低い金額を請求する事案はそうなると思います。
そのような場合にまで、弁護士を依頼することはおすすめしませんが、かかる弁護士費用を大きく越える請求額の事案では、なるべく弁護士に依頼した方が良いと思います。