裁判に勝つためには証拠が必要というのは基本的に本当のこ
とです。
日本の民事裁判は、基本的に、裁判官に対し、証拠によって自分に有利な事実を認定してもらわないと、勝つことができません。
例えば、100万円を貸した相手に返済を請求する貸金返還請求訴訟を起こす場合、お金を貸し渡したことの証拠が必要です。
細かく言えば、①100万円を渡したこと、②その100万円は貸したものであることの両方の証拠が必要です。
相手方が署名押印した借用証があれば、①100万円を渡したこと、②その100万円は貸したものであることの証拠として十分であることが多いです。
借用証まではとっていない場合、①100万円を渡したことは、相手方の銀行口座へ振り込んだ振込明細書の控えがあれば、十分な証拠といえそうです。
②貸したものであることの証拠としては、例えば、電子メールのやりとりで、相手方からお金を貸して欲しいと頼まれ、それに応じる旨を返事したというものが残っており、それが銀行の振込明細書に記載された振込の時期と整合すれば、十分な証拠になりそうです。
逆に、①お金を渡したこと、②お金は貸したものであることについて、何も証拠になりそうなものが残っていないとすると、本当はお金を貸したのが事実だとしても、相手方が裁判でお金を借りたことはないと主張した場合に、裁判で負けてしまう可能性があります。
ただし、いくつか気をつけていただきたいことがあります。
証拠は、借用証や振込明細書の控えのような文書に限られません。
電子メールやLINEのやりとりも携帯電話やパソコンに残っていれば、証拠の1つになります。
相手方との会話を勝手に録音したテープ等も、基本的に証拠になります。
それから、第三者の証言も、1つの証拠ですが、裁判所は、あまり証言というものを重視しない傾向があります。
特に、友人関係や家族関係などがあると、友人や家族に有利な証言をしがちであると推測され、証言の信用性が一般的に低く考えられがちです。
全く中立で、友人関係などが何もない第三者の証言は、基本的に重要な証拠といえます。
ただ、そのような全く中立な第三者が証言するような裁判は、非常に少ないです。
裁判所が証拠として重視するのは、文書やパソコンに残っているデータのような客観的な証拠です。
本人が書いた日記は、1つの証拠ではありますが、文書といっても、本人の創作が可能ですので、裁判所は重視しません。
証拠は、裁判で勝つために、一番重要といえると思います。
なお、以上に述べたことは、あくまで一般論としての当事務所の見解であり、個別の事実経過や裁判内容、証拠の具体的状況で、裁判の結果は変わり得ます。
素人判断は危険ですので、専門家である弁護士に、実際の証拠を見てもらって相談することを強くおすすめします。