法の下の平等とは、日本国憲法14条1項において、すべて国民は法の下に平等であることが規定されていることであり、封建的な身分制度や差別などを禁止し、全ての人は平等とする近代憲法の基本原則の一つです。
人間は生来平等であるという理念が、自由の理念と共に、欧州において中世の身分制度を打破したものであり、重要な原理とされています。
法の下の平等は、権利としての側面から平等権と言われることもあります。
「法の下の平等」については、その言葉の意味合い(解釈)について、様々な問題が議論されています。
①形式的平等と実質的平等
平等には、形式的平等と実質的平等があり、憲法で保障されている「平等」はどちらの意味であるか問題とされています。
形式的平等とは、全て個人を均等に取り扱いその自由な活動を保障することです。機会の平等とも言います。
実質的平等とは、人の現実の差異に着目してその格差是正をできるかぎり行うことです。結果の平等とも言います。
この点、学説の通説的見解は、第一義的に形式的平等を保障しており、実質的平等を重視する方向になっているものの、その実現は社会権の保障に託され、国の政治的義務(立法により解決されるべき問題)としています。
②相対的平等
また、憲法で保障されている平等は、各人の性別、能力、年齢、財産、職業などの種々の差異を前提として、同一の事情と条件の下では均等に取り扱うことであり、そのような意味で相対的平等であると言われています。
全て一律に同じく取り扱うようなな絶対的平等ではないということです。
その結果、合理的な区別は認められ、不合理な差別が禁止されているということになります。
合理的な区別の具体例としては、出産休暇等の女性優遇、所得税の累進課税(所得が増えるに従って、税率が上がっていくものです)があります。
③「法の下」
憲法14条の「法の下」について、以下のような考え方があります。
・法適用の平等…法を執行し適用するにあたり、国民を差別してはならない。
内閣(行政権)・裁判所(司法権)に対する要請。
・法内容の平等…法そのものの内容が平等であること。
国会(立法権)に対する要請。
この2つの考え方があることを前提に、2つの学説が憲法14条の「法の下」をどのように解釈するかについて議論をしています。
・立法者拘束説…憲法14条は、法適用の平等だけでなく法内容の平等も要請している(通説・実務)。
法の内容が不平等であれば、いかに平等に適用しても、平等の保障は実現されないとする。
・立法者非拘束説…14条1項後段の差別の禁止は法内容の平等をも意味するが、同項前段は法適用の平等のみ
を意味する。
根拠として、「法の下」という文言からの自然な解釈であることを挙げる。
法の下の平等に関しては、平成25年9月4日に、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号但し書きは法の下の平等を定めた憲法14条に違反し無効であるとした最高裁判決が出ています。
同最高裁判決については、当事務所のコラム(https://www.yokohama-roadlaw.com/column/post_108.html)をご覧いただけたらと思います。