人権享有主体性

人権享有主体性とは基本的人権が保障される主体であることです。

日本国憲法は、日本国の憲法であることから、日本国民(日本国籍を有している人)に基本的人権が保障されていることは明らかであり、日本国民には人権享有主体性があります。憲法上、第三章「国民の権利及び義務」と規定されていることからも、日本国民に人権が保障されていることは明白ですが、日本国民以外の人についても人権が保障されているかが議論されています。
具体的には、人権享有主体性は、①外国人、②法人などに認められるかどうかが問題とされています。

外国人について
ここでいう外国人とは、日本国籍を有しておらず、外国の国籍を有している人のことです。
憲法が日本国の法であることから、日本国民にのみ人権を認める考え方もないわけでもないですが、人権は人が生まれながらにして認められる権利であること(自然権思想)、憲法の国際協調主義(憲法98条)から、外国人にも人権享有主体性を認めるのが一般的であり、最高裁判所も同様の立場です。
また、外国人が完全に日本国民と同じ人権の保障を受けるわけではないというのが一般的であり、外国人にどこまでの人権が保障されるかについて争いがあります。
人権の性質上可能なかぎり外国人にも人権を保障するというのが一般的な考え方とされています。

法人について
法人とは、自然人以外で法律上の権利義務の主体となることを認められているものであり、例えば株式会社や財団法人等のことです。
人権は、もともと個人の権利であり、人間(自然人)を想定していますが、経済の発展により、法人の活動の重要性が増大し、法人は1つの社会的実体として重要な活動を行っていることから、法人に対しても、性質上可能な限り、人権が保障されるというのが一般的な考え方であり、最高裁判所も同様の判決をしています。
ただし、自然人とだけ結合して考えられる人権、例えば、選挙権、生存権等は保障されず、人権が保障される場合もその保障の程度は、自然人と異なるとされています。 

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