基本的人権とは、日本国憲法において、人が生まれながらにして当然にもっている基本的な権利として保障されているもののことです(憲法学における通説的立場です)。
単に、人権と呼ばれることもあります。
基本的人権は、以下のような性質を有しているものとされています。
①固有性…「人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること」(憲法第五版 芦部信喜著 高橋和之補訂 岩波書店)
②不可侵性…「人権が、原則として、公権力によって侵されないということ」(上記憲法第五版)
③普遍性…「人権は、人種、性、身分などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に共有できる権利」(上記憲法第五版)
基本的人権の性質をこのように考える立場を自然権思想といい、憲法学における通説的立場ということができます。
また、人権の種類として、大きく3種類に分けることができます。
①自由権…「国家が個人の領域に対して権力的に介入することを排除して、個人の自由な意思決定と活動を保障する人権」(上記憲法第五版)。「国家からの自由」とも言われます。
②参政権…「国民の国政に参加する権利」(上記憲法第五版)。「国家への自由」とも言われます。
③社会権…「社会的・経済的弱者が『人間に値する生活』を営むことができるように、国家の積極的な配慮を求めることのできる権利」(上記憲法第五版)。「国家による自由」とも言われます。
これら3種類の分類に含まれない人権として、④平等権、⑤受益権(国務請求権。裁判を受ける権利、請願権などです)、⑥包括的基本権があります。