特別抗告とは、憲法解釈の誤りがあること、その他の憲法違反があることを理由に、最高裁判所にする特別の抗告のことです。
特別抗告については、刑事裁判にも同じ用語がありますが、こちらでは民事裁判におけるものについて説明します。
特別抗告については、民事訴訟法336条に規定があります。
特別上告とほぼ同じ趣旨で設けられたものです。
つまり、憲法問題(憲法の解釈に関する問題)については、憲法上、最高裁判所が最終的な判断権限を有していることが明記されていることから、特別に最高裁判所の憲法判断を求めることが認められたものです。
したがって、特別抗告は、本来、最高裁判所に対して抗告をすることができない場合に、憲法判断を求める道が開かれたということです。
特別抗告については、違憲抗告とも言われます。
そして、特別抗告が認められる対象は、地方裁判所・簡易裁判所の決定・命令で不服を申し立てることができないものと、高等裁判所の決定・命令です。
地方裁判所・簡易裁判所の決定・命令で不服を申し立てることができないものは、口頭弁論の制限・分離・併合の命令(民事訴訟法152条1項)、口頭弁論の再開の命令(民事訴訟法153条)、証拠保全の決定(民事訴訟法238条2項)等があります。
高等裁判所の決定・命令については、特別抗告以外には許可抗告のみ認められています。
特別抗告は、裁判の告知を受けた日から5日以内にしなければなりません。
この期間については、不変期間とされています。
不変期間とは、裁判所が期間を伸長したり、短縮したりできない期間のことです。
ただし、不変期間についても、裁判所は、遠隔地に住所・居所がある者のために、付加期間を定めることはできると規定されています。
特別抗告が認められるのは、憲法の解釈の誤りがある場合、その他憲法違反がある場合に限られています。
実務上、特別抗告が認められるのは、かなり稀だと思います。
特別抗告の手続は、その性質に反しないかぎり、特別上告の手続に関する規定が準用されます。
具体的な抗告の理由、つまり憲法解釈の誤り、その他の憲法違反について主張する書面は、抗告理由書といいます。
抗告理由書の提出期間は、裁判所から抗告人に抗告提起通知書が送達された日から14日以内となっています。