支払督促

支払督促とは、金銭などの請求について、債権者の申立により、簡易裁判所の裁判所書記官支払督促.jpg
の書面審査で、債務者へ金銭の支払などを命じ、債権者が債務名義を取得できる手続のことです。
支払督促については、民事訴訟法382条以下に規定があります。

支払督促は、裁判手続を経ずに債務名義を取得できる、つまり強制執行できるようになるという便利さがあります。
そこで、比較的少額で裁判費用や弁護士費用をかけづらい金銭の請求で、特にクレジットカード会社や消費者金融会社などで利用されていることが多いようです。
支払督促で裁判所に支払う手数料は、裁判の場合の半額です。

支払督促を利用できるのは、法律上、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求に限定されています。
実務的には、金銭の請求の場合がほとんどだと思います。

基本的に、支払督促を申し立てる者は、債務者の住所・本店所在地(法人の場合)を管轄する簡易裁判所に対して申立書を提出します。
支払督促は、必ず簡易裁判所に申立をします。地方裁判所では支払督促をしていません。
また、債権者の住所・本店所在地を管轄する簡易裁判所に申立をすることは認められていません(債務者の住所を管轄する簡易裁判所と同じ簡易裁判所の場合は可能です。)。
支払督促については、督促手続オンラインシステムというインターネット上の手続において、行うことができます。
それには、電子証明書などが必要なようですので、何回も支払督促を利用する業者でないかぎりはメリットは少ないと思われます。

そして、支払督促の申立については、証拠は不要です。
裁判所は一定の形式的な要件を満たす申立については、支払督促を認めます。
本当にそのような申立を裏付ける権利があるかについては、裁判所で確認しません。

支払督促の書類が、債務者に送達された場合、債務者は異議を出すことができ、そうすれば裁判手続に移行します。
つまり、債務者が異議を出せば、裁判になります。
したがって、支払督促が利用されるのは、金銭債権の存在・金額に争いがない場合(債務者に異議がない場合)が多いです。

支払督促の書類が債務者に送達され、債務者が異議を出さないまま2週間経過した場合、債権者は仮執行宣言を付した支払督促を送達するように申し立てることができます。
この仮執行宣言付き支払督促が送達されることで、執行力が生じます。
つまり、債権者は財産差押などの強制執行をできることになります。これが債務名義になるということです。

仮執行宣言付き支払督促の送達から債務者が異議を出さないまま2週間経過すると、支払督促は確定判決と同一の効力を有することになります。
仮執行宣言付き支払督促の送達から2週間経つ前に債務者が異議を出すと、訴訟手続に移行します。
ただし、一旦、仮執行宣言付き支払督促が出てしまうと、債務者が異議を出しても執行力はなくならないため、債務者が別に執行停止の手続をして裁判所に執行停止を認めてもらわないと、強制執行されてしまう状態が続くことになります。

債務者の異議が出ると、支払督促を出した簡易裁判所(140万円以下の請求の場合)か、その所在地を管轄する地方裁判所(140万円を超える請求の場合)において裁判手続が開始されます。
支払督促の手数料では訴訟の手数料に足らない分を債権者が裁判所へ納付しなければなりません。

そして、裁判所は、債権者の請求を認めるか否かの判断をすることになります。和解も可能です。

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