上告理由書とは、上告の際に、上告理由の具体的内容を記載して提出する書面です。
民事事件で用いられます。
刑事事件では、上告の具体的理由の書面について、上告趣意書といいます。
上告理由書は、上告状に上告理由の記載をしてある場合には提出する必要がありません。
ただし、そのような場合は珍しく、通常は上告状を出した後、上告理由書を出すことになります。
それは、上告状について、判決日から2週間以内に出さなければならず、時間的余裕がないからです。
上告理由書は、上告提起後に裁判所から当事者に送達される上告提起通知書を上告人等が受け取った日から50日以内に控訴審の裁判所へ提出する必要があります。
期限内に上告理由書が提出されない場合、上告が却下されます。
上告理由書には、上告理由を具体的に記載しなければならない旨が定められています。
以下の上告理由のいずれかが認められないと、上告は却下または棄却されます。
①控訴審判決に憲法の解釈の誤り、憲法違反があること
②法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと
③法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと
④日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと
⑤専属管轄に関する規定に違反したこと
⑥法定代理権、訴訟代理権、代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと
⑦口頭弁論の後悔の規定に違反したこと
⑧判決に理由を付せず、理由に食い違いがあること
高等裁判所への上告の場合には、これらに加えて、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反も上告理由として認められます。
以上のように、上告理由は、法的問題に限定されており、基本的に事実認定を争うことはできず、法律審と言われています。
上告裁判所は、上告理由書などにより、上告理由がないと認めたときは、口頭弁論を開かずに、書面審理のみで、上告を棄却することができます。