訴状とは、民事裁判を起こす際に、裁判所に提出する書面のことです。
民事裁判を起こす場合には、必須の書面です。
訴状には、訴え提起の手数料と同額の収入印紙を貼ることになっています(民事訴訟費用等に関する法律3条、4条、8条)。
裁判を起こすことを弁護士に依頼する場合には、弁護士が訴状を作成します。
また、訴状については、民事訴訟法上、「当事者及び法定代理人」、「請求の趣旨及び原因」を必ず記載することになっています(民事訴訟法133条2項)。これらを必要的記載事項といいます。
「当事者及び法定代理人」については、特定の人物であることを示すのに十分な程度であることが必要とされており、氏名(会社名)・住所(本店所在地)を記載するのが通常です。
会社などの法人の場合には、代表者の氏名も記載します。
加えて、原告または代理人の郵便番号、電話番号、ファックス番号も記載することが必要です(民事訴訟規則53条4項)。
「請求の趣旨」とは、訴えによって求める審判内容の、簡潔かつ確定的な表示のことをいいます。原告の請求を認容する判決の主文に対応する形で記載します。
「請求の原因」とは、請求の趣旨と相まって請求を特定する事項をいいます。民事訴訟規則において、請求を特定するのに必要な範囲の事実を記載する旨が規定されています(53条1項)。
これらの必要的記載事項は、その記載が欠ける場合、裁判長から不備の補正が命じられ、その不備が補正されない場合には、訴状が却下されます(民事訴訟法137条1項、2項)。
さらに、民事訴訟規則53条1項において、「請求を理由づける事実」(広義の請求原因ともいわれます)、「立証を要する事由ごとに当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠」を記載しなければならないと規定されています。
これらの事項を準必要的記載事項と言われることがありますが、先ほどの必要的記載事項とは異なり、不備があっても訴状が却下されないことから、あくまで任意的記載事項にとどまるとも言われます。
裁判所において訴状が受理されると以下のような手続が行われます。
①事件の配布(分配)。担当裁判官が決まることです。
②裁判長による訴状審査(民事訴訟法137条)。
③第1回口頭弁論期日の指定(民事訴訟法139条)。通常、裁判所と原告側で調整して日時を決め、被告とは調整しません。
④被告への訴状の送達(民事訴訟法138条1項)。通常、第1回口頭弁論期日が決まった後に期日の呼び出しの書面と共に訴状が送達されます。
⑤最初にすべき口頭弁論期日前の参考事項聴取(民事訴訟規則61条)