類似必要的共同訴訟とは、共同訴訟のうち通常共同訴訟を除いた必要的共同訴訟の一つで、個別的に訴えることや訴えられることが可能ですが、一旦共同訴訟となった後は、弁論の分離等が許されず、勝敗が一律に決まらなければならない場合のことです。
つまり、本来共同訴訟にする必要はありませんが、一度共同訴訟となった後は、固有必要的共同訴訟と同じ取扱いがなされます。
類似必要的共同訴訟になる具体例としては、複数人の株主等が提起する株主総会決議取消の訴え(会社法831条1項)、複数人の株主等が提起する株主総会無効確認の訴え(会社法830条2項)、複数人の株主等が提起する合併無効の訴え(会社法828条1項7号、8号)があります。
こちらに挙げたのは会社法上の訴えですが、それだけに限らず、複数人の債権者による債権者代位訴訟(民法423条)も類似必要的共同訴訟になるとされています。
学説の通説的見解は、類似必要的共同訴訟になる場合は、共同訴訟人の1人の受けた判決の効力(既判力)が他の共同訴訟人にも及ぶときであると解しています。
類似必要的共同訴訟になった場合の審理については、基本的に固有必要的共同訴訟と同じです。
つまり、 共同訴訟人の1人の訴訟行為のうち全員にとって有利なものは全員に効力が生じますが、不利な内容のものは全員が揃って行わない限り効力が全く生じません(民事訴訟法40条1項)。
したがって、自白、請求の放棄、請求の認諾は、共同訴訟人全員が行わなければその効力が生じません。
共同訴訟人が訴えを取り下げるときは、共同訴訟人全員が共同で訴えの取下げをする必要があります。
これに対し、共同訴訟人の相手方の訴訟行為は、共同訴訟人の1人に対してなされたものであっても、共同訴訟人全員に対して効力が生じます(民事訴訟法40条2項)。
それから、共同訴訟人の1人について、手続の中断・中止の原因があるときは、共同訴訟人全員について訴訟の進行が停止します(民事訴訟法40条3項)。
そして、共同訴訟人を別の訴訟に分けることになる弁論の分離は認められません。
ただし、固有必要的共同訴訟と異なり、個別に訴訟が提起されていた状態であっても、訴えが不適法として却下されることはありません。