通常共同訴訟とは、共同訴訟のうち、本来別々の訴訟を提起することができる事件が一つの訴訟手続に併合されているもののことです。
共同訴訟において、最初から共同訴訟とすることが法律上強制される固有必要的共同訴訟、最初から強制されるわけではないが一旦共同訴訟となると合一確定の要請により弁論の分離が許されない類似必要的共同訴訟以外のものが通常共同訴訟となります。
通常共同訴訟の要件は、民事訴訟法38条に規定されています。それは、複数の事件を一つの訴訟手続にまとめることを認めるだけの関連性が必要とされています。以下のいずれかの要件を満たすことで通常共同訴訟を提起することができます。
①訴訟の目的である権利・義務が数人について共通であるとき。複数人いる連帯債務者に対して請求をする場合です。
②同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき。同じ交通事故の複数人の被害者が損害賠償請求をする場合がこれに該当します。
③訴訟の目的である権利・義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくとき。複数人にお金を貸している者が複数人に対して支払請求をする場合です。
通常共同訴訟における審理については、民事訴訟法39条に規定があります。
同条では、通常共同訴訟の場合には、各共同訴訟人はそれぞれ独立に請求の放棄や請求の認諾、訴えの取下げ、自白などの訴訟行為を行うことができ、その効果も他の共同相続人には生じない旨が規定されています。
これを共同訴訟人独立の原則といいます。
ただし、民事訴訟法に明文はないですが、証拠共通の原則というものが判例上認められています。
証拠共通の原則とは、共同訴訟人の1人が出した証拠は、他の共同訴訟人との関係でも当然に証拠になる(裁判所は事実認定の資料とすることができる)というものです。
その他に、証拠共通だけでなく主張共通(共同訴訟人の1人が主張した場合、他の共同訴訟人の利益になる内容で、他の共同訴訟人が異なる主張を積極的にしていない場合には、その者の主張として取り扱うことができる)も認めるべきとする学説がありますが、判例上認められておらず、学説の多数の支持があるとはいえない状況です。
したがって、現在の裁判実務では、証拠は共通ですが、主張は共通ではありません。