命令とは、民事裁判において、裁判官が、裁判長や受命裁判官、受託裁判官などの資格で行う訴訟手続などに関する判断(裁判)のことです。
刑事事件でも、命令という概念がありますが、こちらでは民事裁判における命令について説明します。
命令は、決定と同様に、訴訟指揮や手続に関する付随的事項についての判断(裁判)です。
決定は、裁判所が行う判断ですが、命令は裁判官が裁判長や受命裁判官などの資格で行う判断であるという点が異なります。
裁判所が合議体のとき、合議体としての判断が必要なのが決定であり、裁判長などが単独で判断できるのが命令です。
ですので、決定より命令の方が重要度は低い事項についての判断です。
判決とは異なり、当事者が訴えの対象としている内容についての判断(裁判)ではありません。
命令の具体例としては、裁判長による訴状の補正命令(民事訴訟法137条1項)、補正命令に従わない場合の訴状の却下(民事訴訟法137条2項)、対質の命令(民事訴訟規則126条)などです。
命令の手続は、判決と異なり、口頭弁論を行う必要がない点で、決定と同じです(民事訴訟法87条1項但書)。
命令の告知は、決定と同様、相当と認める方法で足りるものとされており、裁判書を作成せずに調書の記載で足りるものとされています(民事訴訟法119条、民事訴訟規則67条)。
判決の場合は、判決書の原本に基づいて、言渡しをする旨規定されています(民事訴訟法250条、252条)。
命令についての不服は、不服申立ができる場合と不服申立ができない場合があります。不服申立ができる場合には、抗告、再抗告などによることが規定されています(民事訴訟法328条、330条)。