否認とは、民事裁判において、相手方が立証責任を負う事実を否定する陳述のことです。
実務上は、相手方が立証責任を負っていない事実や間接事実なども含め、相手方が主張した事実を否定する場合に、「否認」という言葉を使います。
否認については、刑事手続においても使われる言葉であり、その場合は、被疑者や被告人が自己の犯罪事実を認めず争うことをいいます。刑事手続上の否認については、こちらをご覧ください。
否認にもいくつか種類があります。
①単純否認とは、単に相手方の主張を否定する陳述のことです。
②理由付否認とは、理由を付して相手方の主張を否定する陳述のことです。
民事訴訟規則79条3項において、準備書面において相手方が主張する事実を否認する場合には、その理由を記載しなければならないと規定されています。
③積極否認とは、理由付否認のうち、相手方の主張と両立しない事実を積極的に持ち出す場合をいいます。
否認された事実については、その事実の立証責任を負う当事者が、証拠を提出して立証しなければならず、裁判所が事実の存在を認めるに至らなければ、立証責任を負う当事者に不利な判決となります。
否認の反対語は、自白です。自白とは、相手方が立証責任を負う事実を認める陳述のことです。