会計参与とは
会計参与とは、株式会社の機関として、取締役と共に貸借対照表や損益計算書などの計算書類を作成し、会計参与報告を作成するなどの職務を行う者です。
会計参与の制度は、会社法制定時に新たに設けられました。
主として、会計監査人が選任されない中小企業を想定し、税理士などが会計参与として内部的に決算書類(計算書類)の作成に関与することで、決算書類の適正化を図ることを目的としたものです。
会計参与の普及を図ろうとする動きはありますが、まだ一般に浸透しているとまでは言えないようです。
会計参与は、株式会社(特例有限会社を除きます)が定款で定めることで任意に設置することができます(会社法326条2項)。
会計参与の資格
会計参与の資格としては、公認会計士・税理士、監査法人・税理士法人のいずれかでなければなりません(会社法333条1項)。
また、会計参与は、会社またはその子会社の取締役、監査役、執行役、使用人と兼務することはできません(同法333条3項1号)。
会計参与の人数・選任
会計参与の人数について、特に規制はありません。
任期については、取締役と同様であり、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時とされています(会社法334条1項、332条1項)。
会計参与の選任は、株主総会の決議によって行われます。
会計参与の職務・権限
会計参与の職務・権限は、以下のとおりです。
①取締役と共同して貸借対照表、損益計算書などの計算書類、その付属明細書、臨時計算書類、連結計算書類を作成すること(会社法374条1項)
②会計参与報告を作成すること(同法374条1項)
③会社の会計帳簿やその資料を閲覧・謄写し、取締役や使用人に対して会計に関する報告を求めること(同法374条2項)
④会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、会社・子会社の業務・財産状況の調査をすること(同法374条3項)
⑤取締役などの職務執行に関し不正行為、法令・定款違反の重大な事実を発見したときは遅滞なく株主(監査役、監査役会、監査委員会)に報告すること(同法375条)
⑥取締役会に出席し、必要があると認めるときは意見を述べること(同法376条1項)
⑦計算書類などの作成に関して取締役などと意見を異にするときは株主総会で意見を述べること(同法377条)
⑧計算書類や会計参与報告などを備え置き、株主などから請求がある場合に閲覧などに供すること(同法378条)
⑨必要な費用の請求(同法380条)