新株発行とは、成立後の株式会社が株式を発行することです。
募集設立や発起設立のような会社設立の段階での株式発行と区別されています。
会社法は、新株発行について、いわゆる授権資本制度を採用しています。
授権資本制度(授権株式制度)とは、会社が将来発行する予定の株式の数を定款で定めておき(会社法37条1項、2項)、その「授権」の範囲内で会社が取締役会決議等により株式を発行することを認める制度です。
なお、公開会社には、設立時に授権株式数の4分の1以上の株式を発行しなければならず(会社法37条3項本文)、発行済み株式総数の4倍までしか授権株式数を増加できません(会社法113条3項本文)。
公開会社以外の会社については、株主以外への発行には定款の定めまたは株主総会の特別決議が必要です(会社法199条4項、200条4項、202条5項、309条2項5号)。
新株発行の手続については、まず募集事項の決定と公示が必要となります。
①公開会社の場合
取締役会で募集事項を決定します(会社法199条、201条)。
払込期日等の2週間前までに募集事項を公告または株主に通知しなければなりません(会社法201条3項、4項。不要な場合として201条5項)。
②公開会社以外の会社の場合
原則として、既存株主に平等に割り当てることになります(会社法202条1項)。
既存株主以外の者に発行する場合には、株主総会の特別決議が必要です(会社法199条2項、200条1項、309条2項5号)。
また、特に有利な金額で新株発行がなされるように既存株主に経済的な不利益が生じる場合には、株主総会の特別決議が必要です(会社法199条3項、200条1項)。
次に、新株の申込み(会社法203条)・割当て(会社法204条)・引受け(会社法206条1項)が必要となります。
なお、現物出資については、設立の場合と同様、検査役の調査が原則として必要です(会社法207条。例外として同条9項)。
さらに、出資の履行(会社法208条)がなされた上で、新株発行の効力が発生し、発行予定新株式の全てについて払込みがなくても、払込みがあった分だけについて新株発行は成立します(会社法209条)。