資本金とは、株式会社の財産を確保するため、株主の出資を一定金額以上会社の財産として保有させる仕組みであり、その基準となる一定の金額のことをいいます。
資本金の額は、原則として、設立時または設立後の株式の発行に際して株主となる者が株式会社に対して払込みなどをした財産の額です(会社法445条1項)。つまり、出資された金額ということになります。
会社は、この出資金を元手にして、事業を開始することから、通常は資本金の額のうち一定程度は使用されてしまい、会社に必ず資本金の額の財産があるとは限りません。
場合によっては、会社の財産がマイナス(債務超過)になっていることもあり得ます。
また、出資された金額が全て資本金になるわけではなく、出資金の2分の1以内は資本金に組み入れず資本準備金にすることができます(会社法445条2項、3項)。
そのようなことから、資本金の制度は、その会社にいくら出資されたかという目安に過ぎないと言うことができます。
加えて、会社法は、会社の純資産(資産から負債を控除したもの)の金額が資本金及び資本準備金などの総額を上回る場合に限って、株主に剰余金として配当できるなどとして(会社法446条、461条など)、それによって資本金・資本準備金の金額以上の財産を会社に残すように規制しています。これを資本維持の原則といいます。
また、会社法制定前は、最低資本金制度があり、株式会社については1000万円が最低資本金とされていましたが、会社法制定時に最低資本金制度が廃止され、資本金1円でも会社を設立することができます。ただし、会社法において、株式会社の純資産額が300万円を下回る場合には、会社は剰余金の配当などをすることができないことになっています(会社法458条、会社計算規則158条6号)。
資本金の額を減少させることは、一定の手続を行うことにより、可能です。
まず、株主総会の決議が必要です。
資本の欠損の塡補の場合、同時に新株発行を行い資本金の減少額を超える額の資本金の増加があるときには、株主総会の普通決議で足ります。
ただし、それ以外の場合は、株主総会の特別決議が必要です。
次に、債権者保護手続(債権者の異議手続)をとる必要があります。
それは、会社が資本金の額の減少をすること、会社債権者は一定期間内に資本金の額の減少について異議を述べることができることについて、官報などへの公告・会社債権者への個別の催告をする必要があります(会社法449条2項)。
会社債権者が期間内に異議を述べなければ承認したものとみなされますが(会社法449条4項)、会社債権者が異議を述べた場合、会社は、原則として、債務を弁済するか、相当の担保を提供するか、債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社などに相当の財産を信託しなければなりません(資本金の額の減少をしてもその債権者を害するおそれがないときは必要ありません。会社法449条5項、976条26号)。