株式譲渡自由の原則とは、株主は原則として自由に株式を譲渡することができることであり、会社法127条で定められているものと考えられています。
株式譲渡自由の原則は、株主が投下資本を回収する方法として、会社の解散や剰余金分配等の場合以外に、株式の譲渡しかないために定められたと一般的に言われています。
株式に投資しようとする者からすれば、いざというときに株式を譲渡することができる方が投資しやすいため、会社を設立しようとする者からすれば投資者を集めやすくなるという機能があります。
株式の譲渡の方法は、株券を発行している会社かどうかで異なります。
株券発行会社の場合、株券を譲受人に交付することにより行います(会社法128条1項)。
株券の引渡は権利移転の要件であり、対抗要件ではありません。
株券不発行会社の場合、当事者間では意思表示の合致により効力が生じ、譲受人の氏名・住所を株主名簿に記載することが会社その他の第三者に対する対抗要件です。
例外的に株式譲渡が制限される場合として、定款による株式譲渡の制限があります。
定款で定めることで、全ての株式または一部の種類株式の譲渡について、会社の承認を必要とすることができます(会社法107条1項1号、108条1項4号)。
この会社の承認とは、原則、取締役会設置会社では取締役会の承認、取締役会設置会社以外では株主総会の承認ですが、定款で別段の定めをすることができます(139条1項)。
株式譲渡の制限がある場合に、株式を譲渡しようとする株主は、会社に対し、譲渡の承認をするか否かを請求し(136条)、会社が譲渡の承認をすれば株式を譲渡することができます。
会社が譲渡を承認しない場合には、会社による買取りまたは指定買取人による買取りを求めることができます(138条1号)。
仮に、株式譲渡の制限がある場合に会社の承認がないにもかかわらず株式を譲渡してしまった場合、譲渡当事者間では譲渡が有効であるというのが判例です。
ただし、判例は、会社との関係では売買の効力がなく、会社は譲渡前の株主を株主として取り扱わなければならないとしています。
なお、株式の譲渡担保が会社の承認を要する「譲渡」にあたると解するのが判例です。