取締役会とは、取締役全員で構成され、会社の業務執行などに関する意思決定を行う株式会社の機関です。
取締役会は、あらゆる株式会社に必須ではなく、①公開会社、②監査役会設置会社、③委員会設置会社の場合には必須となります。
それ以外の会社は、任意に、取締役会を設置することを定款で定めた上で、取締役会を設置することができます。
取締役会設置会社は、3名以上の取締役が必要とされており(会社法331条4項)、それら取締役全員が取締役会の構成員になります(会社法362条1項)。
取締役会の権限については、
①代表取締役の選任(解任を含みます)
②重要な財産の処分や多額の借財という重要な業務執行などの決議
③代表取締役などの職務執行の監督
と規定されています(会社法362条2項)。
②については、重要な財産の処分や多額の借財などの会社法362条4項各号が定める事項は、原則として、取締役会だけが決めることができ、他の機関で決めることができないものとされています。
会社法または定款で取締役の権限と定められた以外の事項については、取締役以外の代表取締役や経営会議などに委任させることができます。
日常の業務については、通常、代表取締役に委任されているものと解されています。
また、定款において定めることで、会社法上の取締役会決議事項を株主総会決議で決めることにできます。
取締役会の招集については、それぞれの取締役が個々に招集する権限を有します(会社法366条1項本文)。
ただし、定款または取締役会決議で、特定の取締役(例えば、代表取締役社長)が招集権限を有すると決めた場合には、それに従うことになります(会社法366条1項但し書き)。
また、特定の取締役が招集権者と決められた場合、他の取締役は、招集権のある取締役に対して、取締役会の目的とする事項を示して、取締役会の招集を請求することができます(会社法366条2項)。
この取締役会の招集の請求があった日から5日以内に、招集の請求があった日から2週間以内を取締役会の日とする取締役会の招集通知が発せられない場合には、招集の請求をした取締役自身が直接に取締役会を招集することができます(会社法366条3項)。
取締役会の招集手続としては、取締役会の開催日から1週間前までに各取締役(監査役設置会社の場合は監査役も含みます)に対して招集通知(書面である必要はありません)を発しなければなりません。ただし、この期間は定款で短縮することができます。
取締役会の議事については、定款や内部規則などに従うものとされており、会社法には特に規定がありません。
監査役設置会社の監査役は、取締役会の構成員ではありませんが、取締役会に出席する義務があり、また必要があると認めるときは意見を述べる義務があります(会社法383条1項本文)。
取締役会の決議方法については、原則として、過半数の取締役が出席した上(定足数)、出席取締役の過半数の賛成により成立します(会社法369条1項)。
定款で、これより決議要件を厳しくすることはできますが、緩やかにすることはできません。
また、決議内容について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることはできず、定足数からも除外されます。
取締役会決議は、実際に会議を開くのが原則ですが、定款で書面決議を行うことを定めれば書面決議によることが可能になります(会社法370条)。
取締役会決議の瑕疵については、株主総会と異なり、特別の裁判制度は設けられていないため、取締役会決議の無効については、誰でも、どのような方法でも主張することができます。