自首とは、罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に、自ら犯罪事実を捜査機関に
申告し、その処分に服する意思表示をすることです。
自首についての一般的規定は、刑法42条1項です。
自首が行われた場合、刑法42条1項で、「その刑を減軽することができる。」と規定されています。
つまり、自首したからといって、必ずしも刑の減軽がされるとは限らず、裁判所の裁量によることになります。このようなものを刑の任意的減軽といいます。
ただ、実務的には、犯人が自首したことは、犯人にとって有利に評価されることが多く、刑の減軽がされることが多いようです。
自首は、ただ警察に自ら出頭すれば、認められるわけではありません。
要件として重要なのは、「捜査機関に発覚する前に」自ら名乗り出ることが必要な点です。
何が捜査機関に発覚していたらダメなのかということが問題になります。
そして、最高裁は、犯罪事実が発覚していても自首は認められるが、犯人が誰か発覚していれば自首は認められないとしています(最高裁判決昭和24年5月14日)。
したがって、犯人として指名手配されている者が、逃走をあきらめ、自ら警察に出頭してきたとしても、それは自首とは認められません。これはただの所在不明に過ぎず、既に犯人が誰であるか発覚しているからです。
大阪高裁判決平成9年9月25日は、暴力団の抗争での拳銃射殺事件について、射殺事件の8日後に犯人が警察署に出頭したものの、警察が既に犯人を絞り込んでおり、出頭前に被告人が犯人であるという匿名電話があったこと等から、被告人の容疑を濃厚と考えていたとし、合理的根拠をもって犯人を被告人と特定していたことから、被告人の顔写真を入手できず逮捕状を請求していなかった段階であるとしても、自首は認められないと判断しました。
被告人が出頭する前日に、被告人と同じ暴力団員(若頭)が、警察に電話し、犯人を出頭させると伝えていた事実がありましたが、具体的な氏名や所在場所を言わなかったもので、自首には該当しないと判示されました。
もし、自首が成立しなかったとしても、犯人が逃亡をあきらめ自ら警察に出頭したことは、犯人の反省を裏付ける有利な情状として法定刑の範囲内で軽めの刑罰となる要素として考慮されることがあり得ます。
それから、自首した場合に、刑が必ず免除されるという特別な規定があります。
例えば、内乱予備罪・内乱陰謀罪(刑法78条)、内乱幇助罪(刑法79条)については、罪を犯した者が暴動に至る前に自首したときは、必ず刑が免除されることになっています(刑法80条)。
このような後戻りの機会を設けることで、内乱という深刻な事態を事前に回避できるようにする政策といえます。