再度の執行猶予

再度の執行猶予とは執行猶予期間中の者がさらに執行再犯.jpg
猶予付の判決を受けることです。
再度の執行猶予については、刑法25条2項に規定されています。

再度の執行猶予が認められる要件は、以下の①~④の全てを満たすことです。
①以前に刑の全部の執行猶予が付された懲役禁錮の判決を受けていること。
②執行猶予期間中に、1年以下の懲役・禁錮の判決を受けること。
③情状に特に酌量すべきものがあること。
保護観察中に罪を犯したものではないこと。

以上の要件を全て満たしたと裁判官が認めた場合、②の判決に執行猶予が付きます。
上記要件のうち①、②、④については、客観的に成否の判断をすることができます。
③の要件について、情状とは、被告人の身上・経歴、犯罪に至る事情、犯罪の結果、犯罪後の状況、被害感情、社会的制裁などの事件に関する一切の事情を含みます。
その情状に特に酌量すべきものがあるかどうかは、裁判官の裁量的な判断になると思われます。
そして、それらの要件を満たした場合に、裁判官が再度の執行猶予を認めるかどうかも、裁量的な判断になると思います。

したがって、再度の執行猶予が必ず認められる事案というものはありません。

また、再度の執行猶予は、一度執行猶予判決を受けているなかで、基本的には、その執行猶予期間中に再度犯罪を犯してしまった場合ですので、前回の反省が不十分であると考えられます。
そのような状態で、再度の執行猶予が認められる場合は、かなり限定的なものと思われます。
なお、再度の執行猶予は、必ずしも執行猶予期間中に犯罪を犯してしまった場合だけでなく、執行猶予付判決が出る前に犯した犯罪が事後的に発覚したような例外的な場合にも問題になるものと思われます。
そのような場合でも、上記要件を満たす場合に、再度の執行猶予が認められることがあります。

再度の執行猶予が認められると、以前の執行猶予が取消しになりませんので、刑務所に行かないで済みます。
執行猶予期間については、以前の執行猶予と再度の執行猶予で、それぞれ個別に進行することになります。

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