電子計算機損壊等業務妨害罪

電子計算機損壊等業務妨害罪とは、人の業務に使用する電コンピュータウイルス.jpg
子計算機・その用に供する電磁的記録を損壊し、もしくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報・不正な指令を与え、またはその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、または使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害する犯罪です。
電子計算機損壊等業務妨害罪の規定は、刑法234条の2です。
電子計算機損壊等業務妨害罪の刑事罰は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

本罪は、昭和62年の刑法一部改正により新設された犯罪です。
コンピュータの普及により、コンピュータの不正操作などによる業務妨害を特に重く処罰する必要性が生じたことによって新設されたものと思われます。
今やコンピュータを使わない業務の方が珍しいというくらい、色々な仕事をコンピュータによって行うようになっています。

本罪の電子計算機とは、基本的にパソコンなどのコンピュータのことです。
ただし、家電製品などに内蔵されているマイクロコンピュータのような者も、本罪の「業務に使用する電子計算機」に該当するかという問題があります。
これに関し、福岡高裁判決平成12年9月21日は、パチンコ店のパチンコ遊戯台に組み込まれているロムといわれる電子計算機部分は、「業務に使用する電子計算機」には該当しないと判示しました。
同判決は、「業務に使用する電子計算機」とは、それ自体が自動的に情報処理を行う装置として一定の独立性をもって業務に用いられるもの、すなわち、それ自体が情報を集積してこれを処理し、あるいは、外部からの情報を採り入れながらこれに対応してある程度複雑、高度もしくは広範な業務を制御するような機能を備えたものであることを要するとしました。
なお、本罪は不成立とされましたが、偽計業務妨害罪が成立することは肯定されました。

本罪の業務妨害の手段は、以下の3種類があります。
①電子計算機または電磁的記録を損壊する。
②電子計算機に虚偽の情報または不正な指令を与える。
③その他の方法。

①について、電磁的記録とは、電子的方式、磁気的方式その他、人の近くによっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものです。
このように刑法7条2項で定義づけされています。
つまり、CDやDVD、USBメモリ、ハードディスクなどの記録媒体がこれに該当します。

損壊とは、物理的に毀損することだけでなく、データの消去などの効用を喪失させる行為のことです。

虚偽の情報とは、内容が真実に反する情報のことです。
不正な指令とは、本来の事務処理で与えられるべきでない指令のことです。
コンピュータウイルスに感染させることがこれに該当します。

大阪地裁判決平成9年10月3日は、朝日放送のホームページの天気予報の画像を消去して、わいせつ画像に置き換えた事例において、①電磁的記録の損壊と②電子計算機に虚偽の情報を与えたたとして、本罪の成立を認めました。

その他の方法については、電源の切断や通信回線の切断などが該当すると言われています。

さらに、本罪については、上記の行為が行われた結果、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、または使用目的に反する動作をさせたことが要件として必要です。
例えば、コンピュータを停止させれば、この要件を満たします。
停止させなくても、コンピュータが使用目的に反する動作をすれば、要件を満たします。

判例は、業務妨害罪について、業務妨害の結果が発生したことは必要ないとします。

本罪は、未遂犯が処罰されます(刑法234条の2第2項)。
以前は未遂犯が処罰されていませんでしたが、平成23年の刑法一部改正の際に、未遂犯が処罰されるように規定が追加されました。

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