未成年者略取罪、未成年者誘拐罪

未成年者略取罪とは、未成年者を略取する犯罪です。

未成年者誘拐罪とは、未成年者を誘拐する犯罪です。

未成年者略取罪も、未成年者誘拐罪も、刑法224条に規定があります。
未成年者略取罪と未成年者誘拐罪は、刑事罰も同じであり、いずれも3月以上7年以下の懲役です。

未成年者とは、20歳未満の人です。
民法上、未成年者について、「年齢二十歳をもって、成年とする。」との規定があり、刑法でも同様に解されています。
しかし、選挙権について、18歳以上の人に認められることになりましたので、今後民法も含め全ての法律において18歳で成人とすることになる可能性があります。
そうなった場合、18歳未満の人が未成年ということになります。
なお、民法上、未成年者が婚姻した場合には、成人と同様に取り扱うことになっているところ、その場合に、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪が成立するか否かについては、学説上の争いがあります。
裁判例は見当たらず、決着はついていないと思われます。

未成年者略取罪・未成年者誘拐罪は、未成年者が一般的に発育途上であることから、成人より厚く保護するものです。
つまり、成人の場合には、略取罪・誘拐罪について、営利目的や、人質目的等がある場合に処罰が限定されているのに対し、未成年者については目的のいかんにかかわらず処罰することにしてあるのです。

略取とは、暴行または脅迫を手段とし、人を生活環境から不法に離脱させ、自己または第三者の事実的・実力的支配化におくことです。

誘拐とは、欺罔または誘惑を手段とし、人を生活環境から不法に離脱させ、自己または第三者の事実的・実力的支配化におくことです。

つまり、略取と誘拐は、その用いる手段で分けられています。
略取と誘拐を合わせて、拐取(かいしゅ)ということがあります。

親権者が自分の子を連れ去った場合に、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪が成立するかという問題があります。
最高裁判決平成17年12月6日は、夫婦が別居状態で、妻が自分の両親と子(2歳)と同居していた状況で、妻の母親が子を保育園に迎えにいったところ、隙をついて、夫が子を抱きかかえて自分の車に乗せて連れ去った事例について、未成年者略取罪の成立を認め、夫を有罪としました。
同判決は、親権者が子を連れ去った場合について、例外的に犯罪が成立しない余地を認めていますが、子の監護養育上、連れ去ることが現に必要とされるような特段の事情が認められないことや、行為態様が粗暴で強引なものであること、2歳と判断能力を有しない子であること等を摘示し、未成年者略取罪の成立を肯定しています。

未成年者が犯人と共に行動することに同意していた場合に、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪が成立するか否かという問題があります。
ただし、幼児のように判断能力が備わっていない者について、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪が成立することからすれば、未成年者が同意していても、基本的に犯罪は成立すると考えられています。
つまり、重要なのは、未成年者の意思ではなく、監護者(別居や離婚がなければ両親)の意思と考えられています。
ただし、未成年者といっても、18歳や19歳のように、成人に近い判断能力を有している者が同意した場合に、未成年者略取罪・未成年者誘拐罪を否定する見解もあります。
成人に近い判断能力を有している者が、自ら行動を共にすることを同意した場合は、基本的に、暴行・脅迫や欺罔・誘惑という手段が用いられておらず、犯罪不成立になる場合が多いと思われます。

未成年者略取罪・未成年者誘拐罪は、親告罪です。
したがって、被害者等の告訴がなければ、処罰できません。

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