自殺幇助罪とは、自殺する者を幇助する犯罪です。
自殺幇助罪の規定は、刑法202条にあります。
自殺教唆罪と同じ条文です。
自殺幇助罪の刑事罰は、6か月以上7年以下の懲役または禁錮です。
刑事罰も自殺教唆罪と同様です。
自殺は、自らの意思で自らの生命を絶つことです。
自殺することは、犯罪ではありません。
ですが、自殺幇助罪は犯罪として処罰されます。
なぜ、自殺そのものは犯罪でないのに、自殺幇助罪は犯罪なのかという点について、学説上議論があります。
この議論については、自殺教唆罪の説明の箇所で詳しく記載していますので、ご覧いただけたらと思います。
幇助とは、すでに自殺を決意している者に対して、自殺行為を容易にさせることや自殺行為の援助をすることです。
自殺教唆罪は、まだ自殺の決意をしていない人に自殺を勧めることですが、自殺幇助罪はすでに自殺を決意している者に対するところが異なります。
自殺教唆罪と自殺幇助罪をまとめて自殺関与罪といわれることもあります。
自殺幇助罪が認められた裁判例として、以下のもの(富山地裁判決平成17年6月13日)があります。
インターネットの自殺サイトで知り合った2人の者と集団自殺をしようとして、自動車内に自ら準備した燃焼している練炭を入れた七輪2個を持ち込み、結果として他の1人が一酸化炭素中毒で死亡した事案です。
同判決は、諸般の事情に鑑み、懲役2年、執行猶予3年の執行猶予付判決となっています。
自殺幇助罪は、未遂犯も処罰されます(刑法203条)。
自殺幇助罪の未遂犯が成立する段階について、以下の学説上の争いがあります。
①自殺の幇助行為をした時点で未遂犯が成立する。その後、自殺を決意していた者が翻意しても関係ない。
②自殺を決意している者が実際に自殺行為に着手した時点で未遂犯が成立する。自殺しようとしていた者が翻意して全く自殺行為をしなかった場合は未遂犯が成立しない。
この争いは、決着がついていないものと思われます。
自殺幇助罪と同じ条文で、同意殺人罪(嘱託殺人罪、承諾殺人罪)が規定されており、刑事罰も同様となっています。
ただし、同意殺人罪の方が、自殺幇助罪や自殺教唆罪より、若干重い犯罪というのが一般的見解です。