加重収賄罪とは、公務員が、①収賄罪、受託収賄罪、事前収賄罪、
第三者供賄罪を犯し、よって不正の行為をし、相当の行為をしなかったとき、または②その職務上不正な行為をしたこと、相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受・要求・約束し、もしくは第三者に供与させ、その供与の要求・約束をしたときに成立する犯罪のことです。
加重収賄罪は、刑法197条の3第1、2項において規定されています。①の行為は1項、②の行為は2項で規定されています。
加重収賄罪の刑事罰は、1年以上の有期懲役です。
加重収賄罪は、収賄行為に加えて、公務員の職務に違反する不正行為が行われた場合に、重い刑事罰を科すものです。
①の行為は、収賄行為の後、職務違反行為が行われた場合です。
その逆で、②の行為は、職務違反行為の後、収賄行為が行われた場合です。
加重収賄罪は、枉法(おうほう)収賄罪と言われます。
法を枉げて(まげて)不正の行為をしているからです。
不正の行為・相当の行為をしなかったとは、判例上、職務に反する一切の行為とされています。
必ずしも法令に違反することは必要ないと考えられています。
不正の行為については、入札担当の公務員が業者に他の業者の入札価格を教えることや、税務署職員が不当に減額した確定申告書を提出させて受理し上司に届けることが、裁判例で不正の行為として認められています。
相当の行為をしなかったについては、県会議員が議場に出席しなかったこと、警察官がわざと証拠品の押収を行わなかったことが、判例で認められた具体例としてあります。