常習賭博罪とは、常習として賭博した者に成立する犯罪です。
常習賭博罪は、刑法186条1項に規定されています。
常習賭博罪の刑事罰は、3年以下の懲役です。
常習賭博罪は、賭博罪に常習性が加わることで、より重い刑罰が科される犯罪として規定されています。
常習犯という言葉は、「遅刻の常習犯」のように、一般的な言葉としても日常的に使用されています。
ただし、刑法において、常習犯として規定がされているのは、この常習賭博罪のみです。
その他の常習犯で実務上多いものとしては、常習累犯窃盗罪が、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」の3条において規定されています。
常習とは、反復して賭博をする習癖のあることです。
常習性の法的性質について、判例は、賭博常習者という行為者の身分であり、この常習者という身分があることによって刑罰が重くなることから、不真正身分犯(加重的身分犯)と解しています。
常習といえるかどうかについて、判例は、賭博の種類、賭けの金額、賭博が行われた期間・回数、同種前科の有無などの諸般の事情を総合的に判断するとしています。
実際の裁判例では、賭け事をしたことがないプラスチック加工業者が、知人から賭博遊戯場を5200万円で譲り受け、開業の3日後までに合計約70万円の売上を挙げたところで摘発されて廃業となった事案について、被告人に賭博を反復累行する習癖があるとして、常習賭博罪の成立を認めました(最高裁決定昭和54年10月26日)。この事案では、多額の資金を投下しており、長期間営業を継続する意思が認められることから、常習性が認められるのは妥当なものと考えられます。
ただし、この事案で常習性を認めるべきでないとの見解もあります。
また、判例は、1回の賭博行為しか認められなくても、それが常習性の発現であれば、常習賭博罪が認められると考えていると言われています。
それから、常習賭博罪が認められる場合には、賭博行為が何回も繰り返された場合でも、常習賭博罪一罪が成立することになります。
このような犯罪を集合犯といいます。
賭博は、偶然の事情により財産上の利益を争うことです。
詳しい内容は、賭博罪の説明をご覧ください。
また、刑法56条、57条では、累犯として、懲役に処せられた者がその執行を終わった日・その執行の免除を得た日から5年以内にさらに罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とし、その懲役刑の2倍以下とすることができる旨規定されています。
再犯加重、累犯加重ともいいます。
学説上、常習賭博罪が成立する場合に、さらに累犯加重をすることができるか論争がされていますが、肯定する見解が有力です。