御璽偽造罪

御璽偽造罪とは、行使の目的で、御璽・国璽・御名を偽造した者に成立する犯罪です。

御璽偽造罪は、刑法164条1項に規定されています。
御璽偽造罪の刑事罰は、2年以上の有期懲役(20年以下)です。

御璽とは、天皇の印章のことです。
印章とは、人の同一性を表示するために使用される象形(文字・符号)のことです。氏名の印章が一般的ですが、拇印や花押でも良いと考えられています。
判例は、印鑑で押捺した印影だけでなく、印鑑自体も、印章に該当すると解しています。これに対し、学説の多数の見解は、印章は印影だけのことを指し、印鑑それ自体は印章ではないと主張しています。

国璽とは、日本国の印章のことです。

御名とは、天皇の署名のことです。
署名とは、人が自己のことを表す文字で氏名その他の呼称を表記したものです。
いわゆるサインのことです。
判例は、自署だけでなく、印刷やゴム印などの記名も、署名に含まれると解釈しています。学説の多数の見解も判例の解釈に賛成しています。

本罪の実行行為である偽造とは、権限なく、他人の印影、署名を書類等の物体上に表示すること、他人の印鑑を作製することです。
それらの印影、署名などは、一般人が真正なものと誤信する程度のものであることが必要と回されています。

本罪の要件として、行為者に行使の目的があることが必要です。
行為者が自ら行使する目的がある場合だけでなく、第三者に行使させる目的がある場合でも、要件を満たします。

本罪は、御璽、国璽、御名という日本国の重要な印影・署名が対象であることから、刑罰が通常の公印偽造罪(刑法165条1項。3月以上5年以下の懲役)に比べて、非常に重い刑罰が科されることになっています。

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