電磁的記録不正作出罪

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電磁的記録不正作出罪とは、人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利・義務・事実証明に関する電磁的記録を不正に作った場合に認められる犯罪です。

電磁的記録不正作出罪は、刑法161条の2第1項に規定されています。
電磁的記録不正作出倍の刑罰は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

また、第1項の罪が公務所または公務員により作られるべき電磁的記録の場合には、刑法161条の2第2項において、10年以下の懲役または100万円以下の罰金になる旨規定されています。
2項の犯罪を公電磁的記録不正作出罪とも言います。
これとの対比で、1項の犯罪を私電磁的記録不正作出罪と言う場合もあります。

本罪は、昭和62年の刑法改正により新設されたものです。
情報化社会の進展により、従来からある文書偽造罪関係の規定では処罰の対象にならないものを処罰する必要が出てきたからとされています。

電磁的記録の定義については、刑法7条の2において規定されており、電子的方式、磁気的方式その他、人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理のように供されるものとされています。
具体的には、パソコンのハードディスクに記録されているデータやキャッシュカードの磁気ストライプ部分の記録が該当します。

権利・義務に関する電磁的記録とは、権利・義務の発生・存続・変更・消滅に関する事実の証明にかかる電磁的記録のことです。
例えば、銀行の預金元帳ファイルや、馬券の磁気記録がこれにあたります。

事実証明に関する電磁的記録とは、社会生活上重要な事実の証明にかかる電磁的記録のことです。
例えば、キャッシュカードの磁気ストライプ部分の記録やパソコンに記録されている会計帳簿ファイルです。

人の事務処理を誤らせる目的とは、不正に作られた電磁的記録を用いて他人の正常な事務処理を誤らせ、本来のものと異なったものにする目的のことです。

不正に作ったとは、電磁的記録の作成権限がない、または電磁的記録の作成権限を濫用して、記録媒体に新たな電磁的記録を生じさせることをいうとするのが多数説とされています。
この説に対し、権限がある者による虚偽記載(記録)も、「不正に作った」に該当するとの少数説もあります。

裁判例で本罪の成立が認められたものとして、馬券の磁気記録に的中したデータを印字して改ざんした行為、キャッシュカードの磁気ストライプ部分の預金情報の改ざん行為、コンピュータの顧客データベースファイルの改ざん行為、住民票ファイルへの不実の記載行為等があります。

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