無印公文書偽造罪,無印公文書変造罪

無印公文書偽造罪とは、公務所・公務員が作成すべき文書・図画のうち、公務所・公務員の印章・署名のないものを偽造する犯罪です。

無印公文書変造罪とは、公務所・公務員が作成した文書・図画のうち、公務所・公務員の印章・署名のないものを変造する犯罪です。

無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪は、刑法155条3項に規定があります。
無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪の刑罰については、3年以下の懲役または20万円以下の罰金と規定されています。

無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪は、有印公文書偽造罪有印公文書変造罪の対象物(客体)以外の物を偽造・変造した場合に成立する犯罪であり、具体的には、文書・図画に公務所・公務員の印章も署名もないものになります。
そして、重要な文書には印章や署名があり、印章や署名がない文書は重要性が低いと考えられることから、無印公文書偽造罪、無印公文書変造罪の刑罰は、有印公文書偽造罪有印公文書変造罪(いずれも1年以上10年以下の懲役)より軽くなっています。

公務所・公務員が作成すべき文書のことを公文書といい、公務所・公務員が作成すべき図画のことを公図画といいます。
印章・署名のない公文書として認められた事例として、物品税証紙(最高裁決定昭和29年8月20日)があります。物品税とは、消費税導入前に課されていた、高級品・嗜好品にかかる税金のことで、物品税を納めた証としてそれらの品物に貼り付けられていたのが物品税証紙です。
また、旧国鉄の駅名の札についても、印章・署名のない公文書と認めた古い判例があります。
公図画については、印章・署名のないものではありませんが、法務局の土地台帳付属の地図を公図画と認めた判例(最高裁決定昭和45年6月30日)があります。この地図が福島地方法務局高田出張所という記名のある表紙に編綴されていたことから、一体として、署名のある公図画とされたものです。

偽造とは、作成権限のない者が他人(公務員・公務所)名義の文書を作成することです。
公務員でない者が、公文書を作成すれば、偽造ですが、公務員であっても自分に作成権限がない公文書を作成すれば偽造に該当することになります。

変造とは、文書等の名義人でない者が権限なしに既に存在している真正な文書の内容を改ざんすることです。
ただし、既に存在している真正な文書を改ざんした場合に、その改ざんが文書の本質的部分に及び、改ざん後の文書が改ざん前の文書との同一性を失った場合には、偽造に該当するというのが一般的見解です。

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