出水危険罪

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出水危険罪とは、堤防を決壊させ、水門を破壊し、その他出水させるべき行為をした場合に成立する犯罪のことです。

出水危険罪については、刑法123条後段において規定されています。
出水危険罪の刑罰は、2年以下の懲役禁錮または20万円以下の罰金です。

出水危険罪は、その実行行為の内容が、水利妨害罪と重なっています。
ですから、両罪は、同じ刑法123条のなかで規定されています。
ただし、出水危険罪は、出水させる行為により公共の危険を発生させる犯罪である公共危険罪であり、いわゆる出水罪に含まれます。
これに対し、水利妨害罪は、財産としての水利を侵害する犯罪であり、公共の危険を発生させたから処罰されるものではありません。
このように、出水危険罪と水利妨害罪は、実行行為の内容は重なっているものの、犯罪の性質は異にするものです。

出水危険罪の実行行為は、堤防を決壊させ、水門を破壊し、その他出水させるべき行為です。
出水させるべき行為とは、出水の危険のある行為です。
堤防の決壊や水門の破壊は、刑法123条後段に明記されていますが、あくまで例示であり、それ以上の意味合いはないものと思料されます。
それ以外の行為としては、河川を氾濫させるためにあえてダムから大量に放水することが該当するものと思われます。

出水危険罪は抽象的危険犯であり、出水の危険のある行為がなされた時点で、犯罪が成立します。
実際に、出水したことや出水の具体的危険が生じたことが必要ではありません。
その点で、現住建造物等浸害罪非現住建造物等侵害罪を起こそうとする準備行為(予備)や起こそうとして失敗した場合(未遂)を処罰対象とするものでもあります。
また、現住建造物等浸害罪非現住建造物等侵害罪の故意はないが、出水させることの認識がある場合に、実際に現住建造物等や非現住建造物等に浸害が発生してしまったとしても、現住建造物等浸害罪非現住建造物等侵害罪は成立しませんが、出水危険罪が成立します。

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