激発物破裂罪

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激発物破裂罪とは、火薬、ボイラーその他の激発物を破裂させて、建造物その他の物を損壊する犯罪です。

激発物破裂罪の規定は、刑法117条にあります。
同罪の刑罰は、結果として損壊された物に応じて異なっており、刑法117条1項において「放火の例による」と規定されています。
つまり、損壊された物が、現住建造物等放火罪の現住建造物等の場合、刑罰は現住建造物等放火罪と同じ、死刑、無期懲役、5年以上の有期懲役です。
損壊された物が、非現住建造物等放火罪の対象物であれば、他人所有の場合に2年以上の有期懲役で、自己所有の場合が6月以上7年以下の懲役になります。
建造物等以外放火罪の対象物のときは、他人所有の場合に1年以上10年以下の懲役、自己所有の場合に1年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。

激発物とは、急激に膨張・破裂して物を破壊する力がある物のことです。
具体例としては、刑法117条に例示されている、火薬、ボイラーの他、高圧ガス、石油タンクが挙げられます。
ダイナマイトなどの爆発物も、激発物に含まれるものと考えられています。
ただ、爆発物については、太政官布告として制定された爆発物取締罰則があります。
爆発物取締罰則1条では、「治安ヲ妨ケ又ハ人ノ身体財産ヲ害セントスルノ目的ヲ以テ爆発物ヲ使用シタル者及ヒ人ヲシテ之ヲ使用セシメタル者ハ死刑又ハ無期若クハ七年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」と規定されています。
爆発物取締罰則と激発物破裂罪が両方成立し得る場合について、爆発物取締罰則だけが優先的に適用されて激発物破裂罪は成立しないとの見解もありますが、古い判例では、爆発物取締罰則違反の罪も激発物破裂罪も両方成立し、観念的競合(重い刑で処断する。刑法54条1項前段)になると判示したものがあります。

また、自己所有の非現住建造物等放火罪の対象物、建造物等以外放火罪の対象物の場合には、公共の危険の発生が要件として必要であることも、放火罪の場合と同様です。

刑法117条2項において、「前項の行為が過失によるときは、失火の例による。」と規定されています。
すなわち、過失によって、火薬、ボイラーその他の激発物を破裂させて、建造物その他の物を損壊した場合には、失火罪と同様に取り扱われます。
したがって、その場合の刑事罰は、50万円以下の罰金です。
過失についての判例実務の一般的な解釈は、結果が発生することを予見する義務または結果発生を回避する義務があるにもかかわらず、不注意によりその義務を怠ることです。
この場合も、損壊した物が自己所有の非現住建造物等放火罪の対象物、建造物等以外放火罪の対象物の場合には、公共の危険の発生が要件として必要です。

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