加重封印等破棄等罪とは、報酬を得る目的または第三者に報酬を得させる目的で、他人の債務に関して、封印等破棄罪、強制執行妨害目的財産損壊等罪、強制執行行為妨害罪、強制執行関係売却妨害罪に該当する行為をする犯罪です。
刑法96条の5に規定があります。
加重封印等破棄等罪の刑罰は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれら懲役と罰金の併科です。
加重封印等破棄等罪は、封印等破棄罪、強制執行妨害目的財産損壊等罪、強制執行行為妨害罪、強制執行関係売却妨害罪を報酬目的で行う者に対して、より重い刑罰を科すものです。
これは、平成23年の刑法改正で新たに加えられた犯罪です。
この犯罪が追加された理由としては、バブル崩壊後の不良債権処理が問題になるなかで、暴力団や占有屋等が金銭目的で強制執行の妨害を行うことが発生したため、このような妨害行為を防止するためとされています。
加重封印等破棄等罪は、自ら報酬を得る目的がある場合だけでなく、第三者に報酬を得させる目的がある場合でも成立します。
ただし、刑法96条の5において、「人の債務に関して」と規定されていることから、自ら債務を負っている場合は含まないと解されています。
自ら債務を負っている者が報酬目的で封印等破棄罪を犯した場合は、加重されずに単なる封印等破棄罪に該当するだけです。
自ら債務を負っている者と自ら債務を負っていない者が共犯として報酬目的で封印等破棄罪を犯した場合には、自ら債務を負っている者は封印等破棄罪が成立し、自ら債務を負っていない者は加重封印等破棄等罪が成立します。
そのような意味で、加重封印等破棄等罪は、不真正身分犯とされます。