職務強要罪とは、公務員に対して、一定の処分をさせるため、一定の処分をさせないため、辞職させるため、暴行または脅迫を加える犯罪です。
刑法95条2項に規定があります。
刑罰は、公務執行妨害罪(刑法95条1項)と同様、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金です。
職務強要罪は、公務員に対し、一定の処分をさせるため、一定の処分をさせないため、辞職させるためという目的があることが必要です。目的犯ということです。
ただし、職務強要罪の成立には、結果としてその目的が達成されたことは必要ありません。
職務強要罪に似た犯罪として、強要罪(刑法223条)があります。
強要罪の刑罰も、3年以下の懲役という点でも、似ています。
強要罪とは、暴行・脅迫により、人に義務のないことを行わせる等した場合に成立する犯罪です。
職務強要罪と大きく異なる点としては、強要罪は結果として被害者において義務のないことを行わせたことが必要なことです。
強要罪の未遂犯も処罰されますが、職務強要罪の場合は結果として失敗しても未遂犯ではなく既遂犯が成立します。
職務強要罪の目的にある「処分」については、公務員が職務上できる行為を広く含むものと考えられています。
判例上、その公務員の職務権限外の行為であっても、公務員の職務に関係する行為であれば、それを強要する目的があれば、職務強要罪が成立するものと解されています。
それから、 公務員に対し、違法な行為から適法な行為へ改善させるためであったとしても、職務強要罪の「処分」をさせる目的に該当し、公務員に暴行・脅迫を加えれば、職務強要罪が成立するというのが判例の考え方です。
これに対し、公務員の違法行為を適法に是正させようとしている場合には、暴行・脅迫という違法な手段の点については、暴行罪、脅迫罪を成立させれば足り、職務強要罪まで認める必要は無いという説も学説では有力です。
同じように、公務員の違法行為をやめさせようとして暴行・脅迫を加えた場合については、職務強要罪を否定するのが学説の多数説です。
公務員を辞職させるために暴行・脅迫を加えた場合については、辞職強要罪という名称で呼ばれます。