盗品等運搬罪とは、盗品等を運搬する犯罪です。
盗品等運搬罪については、刑法256条2項に規定があります。
この犯罪の刑罰は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金となっています。
盗品等運搬罪の対象となる「盗品等」については、盗品等無償譲受け罪と同様です。
つまり、窃盗罪により犯人が取得した盗品以外に、不動産侵奪罪、強盗罪(事後強盗罪、昏睡強盗罪、強盗致傷罪、強盗致死罪、強盗強姦罪等も含みます。)、詐欺罪(準詐欺罪も含みます。)、恐喝罪、横領罪(業務上横領罪、占有離脱物横領罪等も含みます。)という犯罪によって犯人が取得した物を含みます。
これらの盗品等の運搬とは、委託を受けて盗品等の場所を移転することです。
通常の日本語としての「運搬」と同じ意味で理解することができると思います。
委託を受ける必要がありますが、必ずしも窃盗犯本人からである必要はなく、例えば盗品を無償で譲り受けた人(盗品等無償譲受け罪を犯した人)からの委託を受けて盗品を運搬した場合でも、盗品等運搬罪が成立します。
運搬をするに際して、盗品等であることを知っていることが必要です。
明確に盗品等であることを告げられていなくても、運搬した者がうすうす盗品等だと思っていた場合には、盗品等運搬罪の未必の故意があり、盗品等運搬罪が成立すると思われます。
盗品等だと全く知らないで運搬した場合には、盗品等運搬罪は成立しません。
ただし、最初は盗品等だとは知らなかったが、運搬途中で運搬しているものが盗品等だと知って、知った後も運搬行為を止めなかった場合には、盗品等運搬罪が成立します。
裁判例で、盗品を被害者の家へ運搬したことが盗品等運搬罪になるか問題になった事案で、最高裁は、盗品等運搬罪の成立を認めました(最高裁決定昭和27年7月10日)。
これに対し、学説のなかには、被害者へ返還する場合には、被害者の追及を困難にするという盗品等運搬罪の処罰根拠にそぐわないから、同罪は成立しないとする見解もあります。