業務上横領罪とは、業務で他人の物を占有している者が横領した場合に成立する犯罪です。
刑法253条で規定されています。
業務上横領罪は、業務として他人の物を占有している者が横領した場合に、横領罪より刑が加重されるものです。
そこで、業務とは何であるかが問題となります。
この点、業務上横領罪における業務とは、社会生活上の地位に基づいて反復または継続して行われる事務と言われます。
重要なのは、反復または継続して行われることです。
例えば、クリーニング店が洋服を預かったり、郵便局が手紙を預かったり、経理部長が会社の現金を管理していたりするのは、反復または継続して行われ業務に該当しますので、横領行為が行われた場合、業務上横領罪が成立します。
このような業務として認められる場合には、費用を受け取ることが多いですが、そのような費用が発生することは必要ありません。
無償で預かっている場合でも、反復または継続していると認められれば、業務に該当します。
横領行為が行われる場合は、業務上横領罪に該当する場合が多いです。
そして、業務上横領罪に該当する場合は、被害金額が多額になりがちで、数十億円という横領事件がニュースなどになることがあります。
このように業務上他人の物を占有している場合に、横領罪より刑罰が重くなる理由については、①業務上他人の者を占有する者は、横領罪を犯す可能性が高いため、その予防のために刑罰を重くしているとする説や、②業務上の場合には、横領の被害の度合いが大きくなりがちであるとする説などがあります。
業務上横領罪の業務の問題以外については、横領罪と同様であり、用語集の横領罪のなかで詳しく説明していますので、ご覧ください。