強盗強姦罪とは、強盗犯人が強盗の機会に強姦した場合の犯罪です。
刑法241条前段で規定されています。
強盗強姦罪の刑罰は、無期懲役または7年以上20年以下の懲役です。
強盗強姦罪は、強盗犯が被害者の女性を強姦することが多く見受けられることなどから、特に重く処罰することが規定されています。
強盗強姦罪は、強盗犯人という身分ある者による犯罪であり、身分犯です。
強盗犯人は、刑法236条の強盗罪の実行に着手した犯人だけでなく、刑法238条の事後強盗罪の犯人、刑法239条の昏睡強盗罪の犯人も含みます。
ただし、強盗犯人が強姦した場合には強盗強姦罪になりますけれども、強姦犯人が強盗した場合には強盗強姦罪にはなりません。
強姦犯人が強盗した場合には、強姦罪と強盗罪が両方成立することになり(刑法45条の併合罪)、強盗強姦罪ほど刑罰は重くなりません。
それから、強盗犯人が刑法178条の準強姦(女子の心神喪失・抗拒不能に乗じ、または心神を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて姦淫すること)をした場合にも、強盗強姦罪が成立します。
強姦行為または準強姦行為は、強盗の機会に行われることが必要です。
強盗の機会の具体的内容については、強盗致傷罪の説明を参考にしてください。
最高裁判決の事例で、強盗犯人が強姦する前に奪った財物を元の場所に返還したことがあった場合に、それでも強盗強姦罪が成立する旨判示されたものがあります(最高裁判決昭和30年12月23日)。
強盗強姦罪について、刑法243条で未遂を罰する旨の規定があるところ、強盗強姦罪の未遂犯は、強姦が未遂の場合を指すと考えるのが通説です。
また、刑法241条後段で、強盗強姦致死罪が規定されており、死刑または無期懲役に処するものと規定されています。
強盗強姦致死罪は、強盗犯人が女子を強姦した上、その女子が死亡してしまった場合の犯罪です。
強盗強姦致死罪は、強盗犯人が女子を殺す意思がないにもかかわらず女子が死亡してしまったときに成立すると考えられています。
強盗犯人が女子を強姦した上、その女子を殺意をもって殺した場合に、どのような犯罪が成立するかについては学説上争いがあります。強盗殺人罪と強盗強姦罪が両方成立し、刑法54条後段の観念的競合になるとするのが通説的見解です。
強盗強姦致死罪の未遂犯を処罰する旨刑法243条で規定されています。
この点、果たして強盗強姦致死罪の未遂犯それ自体を認めるかどうかも含め、学説で争われており、確定していません。
強姦が未遂の場合が強盗強姦致死罪の未遂犯とする説や、そもそも強盗強姦致死罪の未遂犯自体が認められないとする説などがあります。