刑の執行の免除とは、様々な場合がありますが、一般的なのは恩赦の一つとしてのものであり、有罪判決が確定した刑について、その執行が免除されることです。
例えば、無期懲役刑が言い渡されて執行されている途中で仮釈放され、保護観察中の者について、刑の執行の免除により保護観察を終了させて、社会復帰を促進させるために行われることがあります。
刑の執行の免除は、いわゆる個別恩赦の形で行われますので、一律に行われるのではなく、当該受刑者の受刑態度などの個別具体的な状況により行われます。
刑の執行の免除は、検察官・刑務所などの長・保護観察所の長が中央更生保護審査会に刑の執行の免除の上申を行って、中央更生保護審査会がこれを審査して相当と認めた場合に、法務大臣に刑の執行の免除の申出を行い、内閣が刑の執行の免除を決定し、天皇が認証するという手続が必要になります。
恩赦ではない刑の執行の免除には、刑法上の時効完成の効果としての刑の執行の免除があります(刑法31条)。
この時効は、一般的に言われる公訴時効(犯人を検挙できないまま時効を迎える場合です。刑事訴訟法250条以下)とは異なり、有罪判決が確定した後もなお刑の執行がなされないで長期間経過した場合のことです。
例えば、罰金刑については罰金が支払われないまま3年が経過すると、時効により刑の執行が免除されます。ただし、時効の中断や停止の事由があります。
また、他にも、外国で確定裁判を受けて、外国で刑の全部または一部の執行を受けた場合に、刑の執行の免除・減刑が認められており(刑法5条)、このような意味でも、刑の執行の免除と言われます。