婦人補導院とは、売春防止法で禁止された方法によって売春を行った者が執行猶予付禁錮・懲役の有罪判決を受け補導処分が科された場合に収容される施設のことです。
婦人補導院は、国立とされています(婦人補導院法1条2項)。
婦人補導院で行う補導は、規律ある生活のもとで、在院者を社会生活に適応させるために必要な生活指導及び職業の補導を行い、並びにその更生の妨げとなる心身の障害に対する医療を行うものとする旨規定されています。
在院者に対する生活指導は、相談、助言その他の方法により、婦人の自由と尊厳とを自覚させ、家事その他の基礎的教養を授け、その情操を豊かにさせるとともに、在院者が勤労の精神を身につけ、その他自主自立の精神を体得するように、これを指導するものとされています。
また、補導は、在院者の個性、心身の状況、家庭その他の環境等を考慮して、その者に最もふさわしい方法で行わなければならないと規定されています。
補導期間は、6か月となっており、途中で仮退院が認められることがあります。
収容者に対する取扱いについては、婦人補導院法において、具体的に規定されていますが、「在院者には、婦人にふさわしい一定の被服及び寝具を貸与し、並びに糧食及び飲料を給与する」と規定されているように、時代を感じさせる言い回しがあります。
また、職業の補導を受けた者に対しては賞与金を与えることができると規定されており、刑罰ではなく、更生のための施設であることが窺われます。