重婚罪とは、配偶者のある者が離婚しないで重ねて婚姻をしたときに成立する犯罪です。
刑法184条に規定されています。重婚罪が成立した場合に科される刑罰は、2年以下の懲役です。
重婚罪は、正式な法律上の婚姻を重ねて行った場合に成立するので、いわゆる事実婚(内縁)は無関係とされています。
また、不倫や浮気という不貞関係になったからといって、重婚罪が成立するわけではありません。
そして、仮に、婚姻中の男性が、妻ではない別の女性と婚姻しようとしたとしても、既に婚姻中の者が出した婚姻届は役所で受理されませんし、重婚罪の未遂罪はありませんので、重婚罪が成立する場合というのは、かなり例外的なのです。
その重婚罪が成立する場合としては、婚姻していた者が偽造した離婚届(配偶者の了解無しに作成した離婚届)を役所に提出して、既婚者ではない状態にして、別の者と婚姻するケースがあり、このような場合には離婚届が無効なため、前婚が有効な状態となるため、重婚罪が成立するとされており、実際に名古屋高裁昭和36年11月8日判決において、同様の事例で重婚罪の成立が認められています。
このような例外的な場合しか重婚罪は成立しないため、実務上、重婚罪が問題になるケースというのは非常に珍しいです。
ですから、現在、重婚罪の存在意義というのは、かなり薄らいでいると思われますが、一夫一婦制という婚姻制度などを守るために重婚罪が存在しているものと解されています。
また、重婚をした者の相手方となって婚姻した者も重婚であることを知っていた場合は、同様に処罰されます(刑法184条後段)。相手方の者も重婚である必要はありません。重婚と知ってて結婚する者は少ないと思われますが、知ってて行う者はやはり同罪ということになります。