はじめに
コラムの更新が久しぶりになってしまいました。
あまりにもの業務多忙で、つい後回しになってしまい、反省しています。
さて、今回は、当事務所によくご相談のある不貞慰謝料についてです。
不貞慰謝料と破産
不貞慰謝料は、状況によっては数百万円と多額になってしまいます。
消費者金融などからの借金のある方が不貞慰謝料も支払わなければならない状況の場合、現実的に支払うことができないとして、破産ということも考えざるを得ないことが考えられます。
このようなケースの場合、破産すること自体はまず問題になりません。
ですが、問題は、破産したからといって、支払わなくて済むとは限らないのです。
つまり、破産した人が以後支払わなくて済むことを免責というのですが、この免責が認められるかどうかが問題になるのです。
免責が認められない債務
破産しても免責が認められない債務というものが、法律に定められています。それを非免責債権といいます。
例えば、税金は非免責債権となっていますので、破産しても税金を免れることはできません。
そして、不貞慰謝料について問題になるのは、非免責債権とされている「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」に該当するかどうかです。
この場合、不貞は不法行為に該当しますので、「悪意で加えた」といえるかが問題になります。
この点、「悪意」とは、下級審の裁判例ですが、積極的な害意のことをさすものとされ、不貞の場合に積極的な害意まで認められないとされたものがあります。
まとめ
下級審ではありますが、裁判例では、不貞慰謝料が非免責債権と認められていません。
したがって、不貞慰謝料が、破産により免責される可能性は高いと思われます。
ただし、非免責債権にあたらないといっても、破産の手続のなかで、破産した人に対して免責不許可の決定がされることがあり、そうなってしまうと、全債務について免責されないことになってしまいますので、気をつけてください。