不倫相手に対する離婚慰謝料の最高裁判決について

本日、不倫相手に対する離婚慰謝料の最高裁判決が出ました。不倫相手.jpg

最高裁は、結論として、不倫相手に対する離婚慰謝料の請求を棄却しました
最高裁判決の内容は、こちら(最高裁のホームページ)で見ることができます。

今回の事案は、以下のとおりです。
平成6年に結婚した夫婦に、2人の子どもがいましたが、妻は平成21年6月から男性と不倫していました。
夫は、平成22年5月ころに妻と男性の不倫を知り、それに伴い不倫関係は終了しました。
その後も、夫婦は同居を続けていましたが、平成26年4月に下の子が大学進学したことを機に、妻は別居し、平成27年2月に調停離婚が成立しました。
離婚した元夫は、元妻の不倫相手であった男性に対し、離婚慰謝料等を請求しました。
一審判決、二審判決は、いずれも198万円の離婚慰謝料等の請求を認容しました。
不倫相手の男性が、最高裁判所に上告受理申立をし、本日の最高裁判所判決になりました。

問題点は、不倫相手に対する不貞慰謝料が3年の時効により請求権が消滅している場合に、離婚慰謝料という形で不倫相手に慰謝料請求をすることが認められるかということです。
今回の件では、元夫が平成22年5月ころに不倫を知り、これと共に不倫関係も終了していますので、この時点から3年が経過し、時効により不貞慰謝料の請求は認められません。
一審判決、二審判決は、不倫相手に対する離婚慰謝料の請求を認めましたが、最高裁判決は特段の事情がないかぎり認められないとし、今回の事案では慰謝料請求を棄却しました。
最高裁のいう特段の事情とは、不倫相手が、単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき場合となっています。
この最高裁の判旨からすると、不倫相手が離婚させることを意図して不当な干渉をしたことが必要ということですので、ただ離婚まで不倫関係が継続していたというだけでは足らず、不倫相手による夫婦関係への積極的な干渉がなければ、不倫相手に対する離婚慰謝料は認められないと思われます。

今回の事案では、不倫発覚により不倫関係が終了し、不当な干渉は見当たらないものですので、離婚慰謝料は認められませんでした。

これに関連して、不貞慰謝料の3年の消滅時効は、いつが起算点なのかという問題があります。
今回の最高裁判決の件は、夫が不倫を知ると共に、不倫が終了しましたので、この時点が起算点で問題が生じないのですが、夫が不倫を知った後も不倫が継続していた場合については、微妙な問題があります。
これに関して、民法724条は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間の経過で時効になる旨規定されており、夫が妻の不倫の事実と不倫相手を両方知った時点から時効が開始するというのが基本的な考え方になります。
そして、最高裁判決平成6年1月20日は、夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同棲により第三者に対して取得する慰謝料請求権についていは、一方の配偶者が同棲関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行すると判示しました。
これに対し、東京高裁判決平成10年12月21日は、夫と不倫相手の女性が同棲を継続し離婚せざるを得なくなった元妻が、不倫相手の女性に対し、不倫とそれに伴う離婚についても含めて慰謝料を請求した事案で、時効の起算点を離婚成立時と判示しました。
ただし、同判決は、本日の最高裁判決が原則否定した不倫相手への離婚慰謝料を肯定する判断をしているようであり、本日の最高裁判決により実質的に否定されているとみることもできますが、不倫関係の継続等の状況が異なるため、今後の裁判例の動向を見る必要がありそうです。

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