おさらい
前回お伝えしましたが、痴漢冤罪の対処法として、一番は、痴漢を疑われないように行動することです。
私は、混んでいる電車では、荷物を持っていないかぎり、手を上げるようにしています。
痴漢を疑われた場合に、その疑いを晴らすのは簡単ではないからです。
それでも痴漢と言われてしまった場合
常日頃、混雑時に女性のそばに行かないようにし、手を上げるなどして、気をつけていれば、痴漢と間違えられることはないはずです。
それでも、つい油断しているときに、痴漢と間違えられてしまったとします。
人生の一大ピンチです。そうならないように、混雑した電車ではとにかく気をつけましょう。
気をつけていたつもりなのに、痴漢と間違えられてしまった場合、私なら以下のように行動します。
目撃者を探し、協力をお願いする
女性から、痴漢と名指しされたとします。
当然、私は、「私は痴漢ではありません。」と言います。
そして、近くで、私が痴漢していないことを見える位置にいる人に、「私は痴漢してませんよね。私は痴漢でないと言ってくれませんか。お願いします。」、「痴漢扱いされてしまったら、私は大変なことになってしまいます。助けてください。」と証人になってくれることをお願いします。
中立的な第三者の証言は、証拠としての価値が高いです。
したがって、痴漢冤罪で何より重要なのは、痴漢でないことを証言してくれる目撃者の存在だと思います。
人は誰しも面倒なことに関わりたくありませんので、見ず知らずの人に協力をお願いしても、簡単ではないと思います。
ですが、人生の一大事ですので、そこは粘ってお願いするしかないと思います。
やりとりを録音、録画する
協力してくれる目撃者がいない場合、痴漢被害を訴える女性に、分かってもらうしかありません。
私は、「左手に鞄をもっていて、右手はつり革でした。痴漢できるわけないでしょう。」、「私が痴漢だという根拠は何ですか。」、「あなたは何を見ていたというのですか。」、「どうして他の人ではなくて私が痴漢といえるのですか。」「私が痴漢をしている手を見ていませんよね。」というように、本当に痴漢していないのであれば、理路整然と痴漢ではないことを主張し、相手方が事実を誤認していることを伝えることは可能だと思います。
その際、女性が分かってくれるとは限りませんので、やりとりを録音、録画し、女性の言い分に根拠がないこと、自分が理路整然と否定していることを残すのが良いと思います。
最近は、スマホで録音・録画がアプリで可能だと思いますので、あからさまにスマホを相手に向けるかどうかは別として、録音・録画はできると思います。
このやりとりが後で重要な証拠になり得ると思います。
ですので、「俺はやってない!」と言うだけではなく、理路整然と、自分が犯人ではないこと、女性に事実誤認があることを説明した方が良いです。
これは、相当冷静でなければむずかしいため、突然痴漢と間違えられている場合に冷静に反論するというのはむずかしいかもしれません。
「弁護士だからこそ、そんな芸当ができるんだ」と思われるかもしれません。
しかし、降りかかった火の粉は自分ではらうしかないのです。あきらめたらそこで終わりです。
人生の一大事ですので、頑張って欲しいと思います。
こちらが理路整然と痴漢していないことを説明し、女性がそれにきちんと反論できない状況が、録音・録画できれば、女性が分かってくれなくても、後でこちらに有利になり得ると思います。
逃げるのは得策ではない
捕まらなければよいと逃げるのは得策ではないと思います。
やはり逃げるのは犯人だからと推測されやすいですし、最近の駅にはあちこち防犯カメラがありますので、いずれ検挙される可能性が高いからです。
ましてや線路づたいに逃げるなどして、ニュースになれば、捕まったときに実名報道されるリスクが高くなります。
名刺を置いて立ち去るという方法が弁護士から出たことがありますが、渡された方には本物の名刺か分かりませんので、それで簡単に立ち去らせてくれないと思います。
そして、今は、捕まったらお終いだった以前と捜査方法が変わってきています。
以前は、痴漢でそのまま逮捕・勾留されることが多かったですが、最近は会社員のように一応身分がしっかりしていて前科前歴がない人については、警察に連れて行かれて、取調べをした後、自白事件はもちろん、否認事件でも釈放されるケースが増えています。
痴漢冤罪が社会問題化したことによるものだと思います。
弁護士は現場に急行できない
痴漢冤罪が社会問題化し、痴漢冤罪のための弁護士保険や痴漢冤罪の弁護士へのヘルプコール、痴漢冤罪のアプリなどのサービスが色々出ているようです。
弁護士にヘルプコールができるというものについては、弁護士が現場にすぐに来てくれるわけではありませんので(本コラム作成時点のサービス)、どうしても上記のような一般論的な説明を受けられるというレベルになってしまうと思われます。
電話で弁護してくれと言われても、現場にいない人間ができることは限られています。
結局一番は
本当に冤罪を晴らそうとするならば、小型カメラを手につけていざというときに冤罪証明をしてくれるアプリの方が実際上役に立つ可能性は高いと思いますが、経済的なコスト・労力・手間を考えると、そこまでするのであれば、とにかく痴漢と間違えられることのないように、できるかぎり混んでいない車両に乗る、女性に近づかない、両手を上げる、性器を押し付けたと言われないような向きに立つという普段の行動が良いと思います。
痴漢冤罪の話になると、女性や鉄道会社が悪者にさせられがちですが、圧倒的に悪いのは実際存在する痴漢の犯人です。
また痴漢は、必ず誰かの目に触れるはずです。
ことなかれ主義ではなく、痴漢を見つけたら許さない、痴漢冤罪も防ぐべきという風潮になり、少なくとも電車内で相互監視するような状況になれば、痴漢も痴漢冤罪も減るのではないかと思います。