最近、悪ふざけをした若者などが不適切な写真をツイッターやフェイスブックなどのインターネット上に投稿することが社会問題になっています。
店舗が休業や閉鎖に至ったり、場合によっては、投稿した本人が警察に逮捕される事態になっているものもあります。
不適切な写真の投稿として問題になっているものにも、色々なバリエーションがありますが、今回はアルバイトが勤務中に不適切な行為をした写真を掲載する場合を取り上げたいと思います。
インターネットでは、「バイトテロ」と言われているようです。
有名なところでは、「ブロンコビリー足立梅島店」というステーキ店でアルバイト店員が冷蔵庫に入って撮影した写真を掲載して「バイトなう」とツイッターでつぶやいたものや、コンビニ店員がアイスクリームのケース内で寝そべる写真がフェイスブックに投稿されたり、ハンバーガーショップの店員がハンバーガー用のパンの上に寝そべる写真をツイッターに投稿されたりしたものがあります。
ブロンコビリーの問題では、運営会社がこの店舗を閉鎖することを決定し、損害賠償請求を検討しているということまで報道されており、損害賠償の請求額は数千万円になる可能性があるという話まで出ています。
ブロンコビリーの事件を法的にみた場合、アルバイト店員が食品を入れる冷蔵庫に自分の身体を入れることによって汚れなどが生じれば、食品の衛生管理上問題がありそうです。ですが、衛生的に問題のある部分を清掃・消毒などすれば問題はなくなると思われます。つまり、冷蔵庫に身体を入れた問題については、必要な清掃・消毒費用などが損害賠償として認められることはありますが、それ以上の店舗の閉鎖の損害についてまで賠償請求が認めらる可能性は低いと思われます。
次に、冷蔵庫に身体を入れた写真を投稿したことの問題ですが、広く誰でも見られるインターネットに投稿されたことによって、食品を取り扱う店舗の信用の毀損は一定程度避けられないとは思われます。ですが、その写真は、悪ふざけでやっていることは明らかであり、その店舗内で日常的に衛生上の問題があるという印象が抱かれる程ではないように思われます。それこそ、一部店員のテロ的な行為であり、悪いのは関与した店員だけであって、店舗全体の信用毀損の程度は大きくないように思われます。報道やインターネット上の記載を見ても、当該店員を非難する声は多いですが、店舗は被害者という論調であり、このような店員がいた店舗の管理責任を問うような論調は見当たりません。ですので、一定程度の信用毀損の損害というのは認められると思われますが、数千万円単位には到底ならないのではないかと思われます。そして、店舗を一度も再開することなく閉鎖するというのは、店員の行為によって閉鎖の必要性が生じたことを立証することは困難と思われ、当該店員の責任と認められる可能性は低いと思われます。
したがって、仮に、ブロンコビリーの運営会社が店員に損害賠償を請求したとしても、数千万円という単位で認められる可能性は低いと思われます。
インターネットの進化・普及のスピードが速く、インターネットに伴う大きな影響について、社会や法律が追いついていないため、このような事件が社会問題になっているように思われます。
また、このような事件が起きると、犯人捜しや個人の特定、個人情報の伝播を面白がって行う人間が跳梁跋扈しているようです。
今はまだそのような人間にスポットライトが当たっていませんが、名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合が多く、悪いことをした者は制裁されて当然という風潮もあって、行動が過激化しているようです。いずれこの問題も社会問題化すると思われます。
インターネットは、とても便利な道具ですが、使い方を誤れば大きな被害や影響を及ぼすことについて、早く社会で共通認識がもたれ、適切なルールが浸透するようになってもらいたいと思っています。
そのためにも、インターネットについての教育(家庭及び学校)が非常に重要だと思っています。