痴漢冤罪について
通勤ラッシュの日々が続くサラリーマンの方にとって、不安な
問題の1つが痴漢冤罪だと思います。
痴漢の疑いをかけられたときに、どう対処したら良いかについて、色々な弁護士が、
「逃げるのが一番。」
「名刺を置いて立ち去るのがよい。」
「弁護士を呼ぶのが一番。」
「名誉毀損で告訴すると言うのがいい。」
などと主張し、何が正しいのか分からない状態になっているように思います。
また、今年に入ってから、痴漢の容疑をかけられた人が逃走して線路に立ち入ったというニュースが何度も報道されました。
そこで、話題になったのが、痴漢冤罪保険というものであり、月額保険料590円という手軽さもあって、加入者が急増中と言われています。
痴漢冤罪防止のアプリまであるようです。
痴漢弁護事件を多数取り扱っている弁護士中澤智憲が、痴漢冤罪の対処法について、お話ししたいと思います。
痴漢の疑いをかけられたとき、うまく助かる方法は…
結論からいいますと、痴漢の疑いをかけられたときに、うまく助かる方法は、ない!ということです。
「弁護士のくせに、なんだその答えは。」と怒られそうですが、本気で言っています。
仮に、痴漢していないのに痴漢に間違えられた場合の良い対処法があり、その対処法をとれば、ほとんどの人が逮捕もされず、処罰も受けないで済む対象法があるとします。
そうすると、実際に痴漢した人が、同じ対処法をとっても、ほとんどの人が逮捕も処罰もされずに、逃げおおせることになってしまいます。
なぜなら、その人が本当に痴漢したのかは、警察官や駅員などの第三者にとって、はっきり分からないわけですから、痴漢を疑われた人は、本当に痴漢していようがしていまいが、ほぼ同じルートをたどる運命にあるからです。
ですから、痴漢を疑われた人が、簡単に助かる良い方法はないのです。そんなものがあったら、痴漢をした犯人も、簡単に逃げられるという最悪な世の中になってしまいます。
したがって、本当は痴漢していなくても、女性から痴漢の犯人と言われているという事態は、冤罪で処罰されかねない、極めて深刻な状況ということです。
痴漢冤罪保険に入って、その場で弁護士から電話でアドバイスをしてもらえればなんとかなるというような甘いものではないと思います。
結局、一番重要なこと
そこで、痴漢と疑われるという最悪の事態を回避する最善の策は、
とにかく痴漢と間違えられないように気をつけるということにならざるを得ません。
痴漢と間違えられること自体が、簡単に疑いをはらすことができない最悪のピンチなのですから、そのピンチを最大限回避するしかないのです。
ここから先は誰でも分かることですが、
①とにかく若い女性の近くに行かないようにする、
②両手を挙げる、
③男性器を押し付けたと言われない向きに立つ、
この3つが鉄板です。
①は、通勤ラッシュでは避けられない場合もあると思いますが、②、③も組み合わせれば、痴漢の犯人と間違えられるリスクは、極めて低くなると思います。
私自身、ラッシュの電車に乗る際、できるかぎりこの3つを実践しています。
それから、万が一のときに備えて、近くの人から、「あの人は両手を挙げていたし、身体の向きからしても、痴漢ではない。」と言ってもらえるように、周囲へアピールをする(周囲から目立つ)というのも、良いと思います。
どうやってアピールするんだと聞かれると、なかなか返答がむずかしいですが、そのような意味でも、いかにも「痴漢してませんよ。」という両手を挙げる体勢は良いのではないかと思います。
それでも、悪い女性が、痴漢犯人をでっち上げて、示談金をせしめようとしている場合に、悪い女性にでっち上げられたら、逃げきれないのではないかと思う人がいるかもしれません。
ですが、そのような痴漢犯人をでっち上げようとしている悪い女性が、いかにも「痴漢してませんよ。」と両手を挙げている人をターゲットにはしないと思います。
手を挙げずに周囲から痴漢してそうだと思われる人が悪い女性に狙われやすいでしょう。
やはり、重要なのは、できるかぎり痴漢犯人と言われることがない行動をとることだと思います。
男性専用車両には反対
それから、痴漢冤罪の問題になると、よく「男性専用車両をつくってほしい。」という主張を目にします。
ですが、発車間際に飛び乗ったり、男性専用車両がひどい混雑で乗れなかったりという事情で、男性が女性もいる車両に乗らざるを得なかったとき、「男性専用車両があるのに乗らなかったこと」自体が、痴漢犯人を疑われた際に不利に扱われるおそれがあると思います。
それから、かなりレアケースですが、男性が男性を触る痴漢というのもあります(女性が女性を触る痴漢というのは今まで聞いたことがありません。)。
これから東京オリンピックを控え、観光立国を推進している日本において、「日本では、痴漢事件・痴漢冤罪事件を防ぐために男性専用車両がありますので、男性は男性専用車両に乗ってください。」というのは、それを聞いた海外の人が「日本は、男性専用車両をつくるほど痴漢がいるようだ。」と思うのではないかと心配です。
まとめ
以上のように、痴漢と疑われたときの特効薬はありません。
特効薬はない以上、痴漢と疑われないようにすることが最も重要ということです。
そんなことは言われなくても分かっているという方のため、次回以降、万が一、痴漢と間違えられた場合に私が考える最善の方法をお話ししたいと思います。